yokaのblog

湖で微生物の研究してます

博士課程は最低年収よりも最高年収を上げるべき

日本で博士課程に進学する人がどんどん減っていてマズいということで、博士課程学生の生活を金銭的にサポートする制度が増えてきて、良いことだと思う。自分が学生の頃は、博士課程で給料をもらおうと思ったら学振特別研究員ほぼ一択だった。それも採択率20…

申請書に壮大なストーリーは要らない

科研費若手に内定をいただいた。今年の申請書は、落ちてしまった昨年の申請書と比べると、3割くらいの時間で書いた、ある意味手抜きの申請書だ。 手抜きをしたのは、単にポスドク時代よりも忙しくなって申請書に割ける時間が無くなったこともあるけど、それ…

休日にやりたすぎる仕事も問題である

「休日にもやりたいと思えるくらい好きなことを仕事にしたい」というのが、自分が会社員を辞めた大きな理由の一つだった。研究者になって、今は正真正銘、休日にもやりたいと思える楽しい仕事をしている。毎日が休日といっても良いくらい、本当にやりたい事…

大学の先生の本分は研究ではなく教育である

何を当たり前のことを言っているんだという話だけど、「大学の先生は研究者ではなくて先生なのだ」ということを改めて感じている。ある程度は想像していたけれど、当初の想像をはるかに超えて、学生を教える仕事は重要だし大変だし、本気で取り組むべきもの…

2021年の感想:大学の先生はとてもすごい

2021年は大学教員として過ごす最初の1年だった。コロナで例年のやり方やイベントが無くなったままなのでまだ仕事の全体像を掴めた感覚が無いのが残念だけど、ようやく自分のペースが作れるようになってきて、自分が教員であることに慣れてきた。教員になるに…

微生物生態学会2021

オンラインで2年ぶりに開催された微生物生態学会に参加した。前のポスドク先も今の就職先も、この学会での出会いがきっかけになっていて、大変お世話になっている学会だ。学生やポスドク時代はとにかく色んな人の話を聞いて視野を広げて、色んな人と話して…

陸水学会2021

2年ぶりに開催された陸水学会(オンライン大会)に参加した。もう一つメインで参加している学会の微生物生態学会では、研究技術の進歩が速いこともあって、先端的な手法や解析に圧倒される発表が多い。一方でこの陸水学会は、そういう派手さはないのだけど、…

「やらない」の先にあるものは何だろうか

昔から「やること」よりも「やらないこと」を決めるのが苦手だった。性格的に、寄り道だと分かっていても、気になってしまうと一通り納得いくまで進んでみないとどうしても気持ちが収まらない。なのでビシバシと「やらない」選択を決めて効率よくゴールに向…

対面で会うことの価値が上がった

京都化学者クラブに招待をいただいて講演をしてきたのだけど、オンラインではなく対面での発表だった。会場は京大にある楽友会館という素敵な建物で、存在は知っていたけど中に入ったのは初めて。 公式に対面で発表をするのは2020年2月以来、なんと1年半ぶり…

AVW10

運営委員を務めていた10th Aquatic Virus Workshop (AVW10) が無事終わった。本当は2018年のAVW9(アメリカ)にも参加したかったのだけど日程の都合で断念していて、当時はまさかその3年後に自分が運営する側になるとは思ってもいなかった。AVW10を宇治でや…

水素吸蔵合金

中学生の頃の話。社会の授業で、近所の自動車メーカーの社員がやってきて、自動車の開発や製造について紹介してくれる機会があった。その話の内容は今はもう覚えていない。だけど、よく覚えているのが授業後の感想のアンケートで「水素吸蔵合金が面白いと思…

人を相手にするかモノを相手にするか

人を相手にする仕事と、モノを相手にする仕事がある。人を相手にする仕事が気にするのは「伝わり方」であり、目指す成果は「納得感」だ。モノを相手にする仕事が気にするのは「事実」であり目指す成果は「確かさ」だ。どちらも「結果」を出しているのだけど…

科研費若手落ちた

環境中の未培養の細菌のゲノムが簡単に得られる時代になって、原核生物の多様性や「種」の実態を全ゲノム(=塩基配列で生物を分類するうえで最高解像度の情報)で捉えなおす動きが加速している。その中でも重要な未解決課題の一つが、「種間の明確な境界」…

学問はもっと気軽に志せるものであってよい

自分の人生は3年区切りだ。中学生・高校生を3年ずつやったあと、学部3回生まで京都で過ごし、4回生・修士2年の計3年は滋賀の生態研で研究して、その後東京で3年間会社員をやって、再び滋賀の生態研に戻って3年かけて学位をとって、3年任期のポスドクとしてつ…

出張は無くならない

コロナの谷間を見計らってつくば出張に行ってきた。前所属の産総研で長期培養している微生物サンプルの確認と、まだ京都に移動できていなかった冷凍サンプルの輸送が目的だ。 まだつくばにいた去年の7月に関西を訪れて以来、半年以上ぶりの出張だ。何もかも…

シェルのパイプからRを使って最大値や平均値を簡単に得る方法

シェルでデータテーブルを触るのにawkがよく使われるけど、最大値・最小値・平均値などを計算しようとすると結構めんどい。Rでやれば2語で済むような処理も、awkだとifやforを使って複数行を使って書かなければできなかったりする。自分はRのほうが得意なの…

論文出版社がますます嫌いになった話

前回の記事では、今回出版した論文の内容を簡単に紹介したのだけど、どちらかというと書きたかったのはこっちだ。今回の論文は初稿完成から出版まで9カ月かかった。9カ月という期間だけみると、そんなに長い方ではないのかもしれない。だけど、原稿がこちら…

離れた湖にいる細菌同士はやっぱり違う

学生時代に手を付けていた最後の仕事がようやくpublishされた。 当時調子に乗って広げまくった風呂敷を畳むのに、結局3年弱を費やしてしまったけど、何とか形にできてよかった。これで本当の意味で、博士課程でやっていた研究は完了したといえる。また本研究…

研究がとても楽しい

若いころに比べると、自分の思考や感情をあまり表に出さないようになってきた。理由は大きく二つある。一つは、歳をとって色々な経験を経て、「考えたことがあること」や「感じたことがあること」が増えたことで、「わざわざ外に発信しなくても、自分の中で…

例外としてこなしてしまった1年

歳をとるごとに冬休みが短くなり、年末に年末感を感じられなくなってきているのだけど、今年は帰省も自粛せざるをえなくなって、例年にまして年末感が無い。せめてこの1年を振り返ってみようと、少し考えてみたけれど、あまり思い出せることがない。特に、家…

違和感がないという違和感

京大に着任してから最初の2週間が経った。つくばから京都へ引っ越して中0日で初出勤で、生活も仕事も何もかもが一気に変わって、脳が適応するのに精いっぱいで、夢の中にいるかのようなフワフワした2週間だった。ようやく仕事環境の整備や、家の片付けも一…

人生のストーリーを追究したいという非合理なこだわり

学部生時代から一貫して湖で研究を続けているのだけど、事あるごとに「海には興味ないの?」と聞かれてきた。確かに湖よりも海のほうが研究人口が多くて議論も盛んだし、就職での選択肢も多い。地球上の大部分を占める海の研究は単純に湖よりも成果のインパ…

申請書書きは嫌いじゃない

科研費シーズンということで来年度の申請書を書いていたのだけど、これまでの申請書類と比較して今回はかなりスムーズに書くことができた。今までは文章を書きながら考えたり文献を探したりということが多かったけど、今回は箇条書き状態でしっかりと煮詰め…

デスクトップPCを導入した

これまで2コア4スレッドCPU、8GB RAMの普通のモバイルPCで全ての作業を完結させていたのだけど、今回新たにデスクトップPCを導入して、解析環境を一新した。 メタゲノム解析をするようになってから、ストレージもCPUもメモリも桁違いに要求されるようになり…

遠くなった琵琶湖

関西に置いてきた培養サンプルが回収できずにずっと研究が止まっていたのだけど、県外への出張が許されるようになったので、4か月半ぶりの出張に行ってきた。行く途中、4か月半行っていない東京がまだ本当にこの世に存在しているのかをこの目で確かめるのが…

自分が変わらなければならないのか?

コロナウイルスの自粛期間に入って約3か月が過ぎた。出張はもちろん、出勤すら満足にできない我慢の日々を過ごしている。思い起こせば、2月末に関西出張に行った頃にはもう日本で感染者が確認され始めていて、マスクをしてドアノブや手すりをできるだけ触ら…

ポスドク3年目の論文の書き方

学位を取って2年が経ち、今月からポスドク3年目に突入した。学生時代にとった論文化できていなかったデータのうち、3本目となる最後のネタの原稿をようやく書き上げた。調子に乗って広げ散らかした風呂敷達を畳むのに結局2年もかかってしまった。これからは…

Rの作図におけるベストな配色の選び方

論文のFigはほぼRで描いているのだけど、複雑なデータをコンパクトに見せるためにカラフルな図を作ることが多い。そこでいつも悩むのが「いかに効率よく配色するか」ということだ。カスタムの配色セットを作ってみたり、カラーパレットのパッケージをあれこ…

96wellの細菌を1時間半で数えてくれる機械

96wellフォーマットでセルカウントができるフローサイトメーターがやってきた。数年前からずっと欲しいと思っていたのだけど、今回、ラボで導入することが決まり、とてもありがたい。 早速、琵琶湖で採ったサンプルを使ってカウントをやってみた。最初は閾値…

基礎研究を税金で支えなければならないのはなぜか?

税金を使って基礎研究をさせてもらっている研究者として、この問いに対する答えは常に準備しておかなければならない。 そもそも人類の歴史の大半の期間において、基礎研究は金持ちまたは金持ちからの支援を受けた研究者が行うものだった。税金(=国の予算)…