yokaのblog

湖で微生物の研究してます

2015-01-01から1年間の記事一覧

久々の論文書き

4月から超特急でスタートした実験の結果が12月になってようやく出揃って、3年ぶりに論文を書き始めた。Figはできてるし、会社員時代に鍛えた文章作成テクで1週間ちょいで草稿まで書けるのでは、とか思っていたけど、そんなに甘くなかった。 Materials and Me…

12月びわこ

昨日は月例の琵琶湖調査。気温は15度あったけど、早くも冬の天気の洗礼を受け、強風で調査は途中で中断・・・ ↑比良山が雲を堰き止めている様子が良く分かる。 ↑沖は白波が立ち海のような状況。 透明度は8.5 m、植物プランクトンは、Fragilaria, Stephanodis…

かっこいい研究者

「上までのぼりつめた先輩がカッコいい存在かどうか」というのは、自分が飯を食っていく業界を選択するうえで、くだらないことのように見えて、とても重要な要素だと僕は思っている。研究者が研究者を目指す理由って、単に自然が好きとか好奇心旺盛とかいう…

微生物は世界中を飛び回っているのか?

微生物生態学における大きな未解決問題の一つに、「ある場所の微生物群集を決めるのはそこの環境なのか、歴史なのか?」というのがある。具体的には、 ①あらゆる場所に全種類の微生物が少量ながらも生息していて、その環境に適したものだけが増えることがで…

バイオインフォマティックス学会&11月琵琶湖

先週はバイオインフォマティックス学会なる学会に参加してました。これからは全ての生物学が情報との戦いになるはずだ!ということで、少なくともある程度のリテラシーは備えておくべきだと思っているので、ド・アウェーの中、敢えて飛び込んでみた次第。自…

微生物生態学会&中禅寺湖調査

つくばで実験⇒土浦で微生物生態学会⇒中禅寺湖で調査、というスケジュールをこなし、さすがに疲れております。ひとまず全行程無事故で良かった。 微生物生態学会は、僕が参加している国内の学会の中では一番規模が大きく、アクティビティも高くて面白い学会だ…

10月びわこ

今日は月例の琵琶湖調査。 ↑ 寒くなったからか、はぐれたホテイ草が沖合を漂っていた。 表層水温は21.9℃、透明度は5.4mと、少し低め。植物プランクトンを見ると、Microcystis, Staurastrumに加え、Fragilariaなどの珪藻も出始めていた。 自分の研究的には、…

系統地理は面白い

湖調査⇒陸水学会の1週間の北海道滞在を終えて、滋賀に帰還。 陸水学会では色んな分野の研究者の話を聞くことができて楽しかった。同業のプランクトン研究者の話はもちろん、もう少し大きな生き物の研究や、普段なじみのない物理・化学系の研究発表も聞くこと…

北海道の湖たち

北海道の湖に水を採りに来ています。 ↑支笏湖。 ↑洞爺湖。こちらは北大の臨湖実験所の方に船を出していただきました。 ↑倶多楽湖。 どこも深くて透明度が高い、貴重な湖。「自然に出て生き物を採ってきて研究することを仕事にする」という夢が、気づいたら実…

徳山湖

日本中の深い湖でレアな細菌を捕獲しまくるプロジェクト、北海道から鹿児島まで制覇したけどダム湖はこれまで未攻略。というわけで、岐阜県にある貯水量日本最大のダム、徳山ダム湖に行ってきました。ダム管理所の方に許可をいただき、船で最深地点(約120 m…

次世代シーケンサーの次にくるもの

鳥取で行われていた微生物資源学会という学会に参加。単離や株の保存に関する学会で、自分がやっている生態の研究からは少し分野違いだけど、ある微生物のことをしっかり知ろうとすると「単離する」のがやっぱり一番効果的な方法で、その道のプロの人たちと…

科学技術予測調査を読んで

文部科学省直轄の「科学技術・学術政策研究所(NISTEP)」が第10回科学技術予測調査の結果を公表。 <a href="http://www.nistep.go.jp/archives/22697" data-mce-href="http://www.nistep.go.jp/archives/22697">「第10回科学技術予測…

国際学会@スウェーデン

スウェーデンのウプサラで行われている国際学会(SAME 2014)に参加してます。一年で一番いい時期に来ていて、町並みと気候を楽しんでます。 自分の論文が意外に読んでもらえていたり、やろうとしていたことがすでにやられていたり・・・で、やはり世界の研…

試行錯誤とこだわり

会社員を辞めて研究に戻ってきて、特に「良かったな」と思える瞬間として ① 試行錯誤にしっかり時間を使える ② アウトプットの質にこだわることに時間を使える という2つがある。 アカデミアに比べて、時間(=コスト)の使い方によりシビアなビジネスの世界…

8月琵琶湖

今日は月例琵琶湖調査。ここ1週間くらい晴れが続いているおかげで、水温躍層がくっきりと出てました。表層の水温は29.7℃、透明度は10.0 m。深水層の水は一年中8℃なので、深いところからの採水の余りで手を洗うと最高に気持ちいい。 定例の採水もやりつつ、色…

「未来の当たり前」を考える

研究計画を立てるときの話。研究の世界ではだいたい、実際に実験してデータを出している段階から、論文が出版され成果が世間に公開される段階までに、数年のタイムラグがあるのが普通だ。だから、自分が新しい研究テーマを考えるとき、今論文になって出てい…

研究者のイメージ

駄文です。イメージを知るにはイメージ検索でしょ!ってことで、ググってみた。 研究者 - Google 検索 白衣+顕微鏡が多い感じ。僕もステレオタイプな研究者として胸を張れる模様。ちなみに「科学者」で調べた結果 科学者 - Google 検索 毛色がかなり変わっ…

USEARCHを使った16S rRNAアンプリコンシーケンス析②

前回よりもさらにマニアックなんだけど、備忘で書いておく。 USEARCHでNGSデータを分析するとき、454のMIDタグ付きのリードファイルであれば、前回の方法でそのまま処理できるんだけど、illuminaのリードの場合は、 ①ペアエンドのリードがそれぞれ別のfastq…

USEARCHを使った16S rRNAアンプリコンシーケンス分析

細菌の16S rRNAアンプリコンシーケンスの分析を一通り勉強したので備忘で。今回はUSEARCHというパイプラインを使って分析を行うことにした。全体像をまとめると以下の通り。 ①・②がデータをきれいにするステップ、③~⑥がOTUをつくるステップ、⑦・⑧が作ったOT…

PacBioを使った16S系統分析

次世代シーケンサーで環境中の細菌の組成を明らかにする方法として、16S rRNAのアンプリコンを使ったメタゲノム分析が一般的だ。今主流のilluminaや(消えつつあるけど)454を使った方法だと、シーケンサーのアウトプットのリード長がせいぜい500bpなので、…

自分の「大きな問い」

先日あった、学生の「研究計画発表会」で自分の研究計画を発表したとき、とある教官から「君の研究のBig Questionは何だ?」という質問をうけ、不意打ちだったのでうまく答えることができず、その後色々と考えていた。以前にも書いたけど、研究者として、ず…

研究者の自信について

僕の分野に近いところだけの話なのかもしれないけど、会社を辞めて研究の世界に戻ってきて、「研究者ってもっと自信満々でもいいんじゃないの?」と思うことが多々ある。というか、謙虚すぎるのでは、と感じる。 クラスで一番勉強できるやつをみて「あいつと…

論文への特殊記号の入力方法

論文書くのに英語での特殊記号の入力にイラついているので、よく使うやつの簡単な出し方の備忘。2文字入力→「Alt+X」で入るので、いちいちフォントを変換するよりも早い。 入力したい文字 読み方 入力方法 ° 度 b0→Alt+X µ マイクロ b5→Alt+X ± プラスマイ…

7月びわこ

トリプル台風が来る前に月例の琵琶湖調査。水温は23.1℃で先月と大差ないけど、透明度は4.8 mでかなり低くなった。 植物プランクトンは、Staurastrum, Ceratiumのほか、Aphanocapsaなどのラン藻を含めて、小型でコロニーを作るタイプが増えてきた。栄養塩が枯…

NGS現場の会 3日目

5日間の学会ラッシュも今日が最終日。NGSって本当にあらゆる分野で、爆発的な勢いで新発見を生み出していると感じた。別件のついでで急遽行くことにしたのだけど、参加してみて良かった。次はちゃんとデータを揃えて発表したい。 今日の個人的ハイライト、以…

NGS現場の会 2日目

今日は昨日以上に近い分野の研究発表が多く、有意義な1日だった。学会で他の研究者と話すことのメリットって、大きく3つあると思う。 ①自分の想像の上限が引き上げられる ②研究の問題設定の明確化・精緻化ができる ③知見を交換し、コラボ研究の可能性を模索…

NGS現場の会 1日目

今日からはバイオインフォ周りの情報収集を目的に、つくばでやっている「NGS現場の会」という学会に参加。今日は初日なので半日だけだったけど、規模も大きくて、勢いのある学会ってこんな感じか!という熱気が伝わってきて楽しかった。 僕の研究では、環境…

環境バイオテクノロジー学会 2日目

昨日に続いて環境バイオテクノロジー学会。昨日もなんとなく感じていたことだけど、研究対象が深刻な汚染(高濃度・高毒性・難分解)だったりするので、 ・環境中に栄養を撒く ・環境中に微生物を撒く ・遺伝子を組み替えた生物を使う といったことに対して…

環境バイオテクノロジー学会 1日目

今週はずっと関東出張中。僕は所属としても生態学の研究所にいるし、自分の研究のルーツも一応「生態学」にあると思っているけど、今後は「微生物学」寄りな知識や技術も身につけていきたいと思っていて、今年は情報収集をしに他分野の学会にも参加してみよ…

48連でCARD-FISH

顕微鏡下で細菌を種類ごとに染め分けることができるCARD-FISH染色。便利なんだけど、実験の手数が多くてかなりめんどくさいです。 48wellで培養しているサンプルを一つずつFISHで確認するのに発狂しそうになっていたので、48連のメンブレンブロッターを応用…