yokaのblog

湖で微生物の研究してます

創発的研究支援事業に採択されました

「湖間比較で拓く高解像度な生態系多様性研究基盤」という研究課題名でJSTの創発的研究支援事業に採択いただいた。長期で思い切った研究をできる環境を頂けることは本当にありがたい。特に今回「湖」という言葉を課題名に入れて採択を頂いた意義は自分にとって大きい。以前、論文のタイトルに関して同じようなことを書いたけど、「湖」という言葉を入れて研究対象を限定することは、一般性という観点ではマイナスに働くリスクがある。他の採択課題を見ていても、もっとジェネラルでカッコいい課題名がたくさん並んでいるので、課題名をどうするかは結構迷った。それでも「湖」を入れて勝負することを選んだのは、「自分が組み上げてきたこの研究系の可能性をもう少し追究してみたい」という純粋な好奇心を正直にぶつけておきたいと思ったからだ。

 研究は昔も今も面白いのだけど、今までどうしても「評価される論文を書いて生き残る」という気持ちが心の奥にあって、「本当にやりたい、面白いと思えていることをやれているのか?」という自問自答があった。そもそも、自分が面白いと思えることは他にもたくさんあって、湖で研究を続けているのは単なる偶然と非合理なこだわりの産物にすぎないと思っている。そんな中で今自分が持てている「純粋な好奇心」は本物であり、論文になるとか生き残るとか関係なく、心の底から進んでみたいという方向が明確に見えている状況が起きている。この感情と、そこに至るまでに積み上げてきたアイデアと経験と実力を申請書と面接でぶつけてみて、どういう評価が下るのか知りたい・・・というのが応募の動機だった。

 なので今回、「湖」を入れた課題名で採択されたことは、自分のこの考えを認めてもらえて、背中を押してもらえたような気持ちでいる。とくに、採択後の審査員からのコメントで「新しい技術を積極的に取り入れて、他分野の研究者と解析を進めて欲しい」というのがあって、これはまさに自分が力を入れていきたい方向性でもあるし、創発事業の趣旨にもマッチする方向でもあるので、そこに言及してもらえたのは嬉しいし励みになったし楽しみだ。

 以前書いたように、これだけ高額の研究費を、税金から、しかも前払いで助成して頂くというのは大変かつ深刻なことだと思っている。それだけ、重い期待を背負っているのだという気持ちで、しっかりとそれに応えられるように頑張りたい。