yokaのblog

湖で微生物の研究してます

2016-01-01から1年間の記事一覧

琵琶湖納め

今年最後の琵琶湖に行って来ました。今回はとにかく量が必要で、なんと60Lの採水。琵琶湖を60kgも軽くしてしまった。 気温7.7℃、水温11.6℃。透明度は5.5mとまだ低くて、緑藻のブルームが続いている。20µmのプランクトンネットをひくとあっという間に真緑に…

12月びわこ

今日は月例の琵琶湖の日。車も地面も凍り付く朝。比良山も白くなっていた。 表層水温は13.1℃、透明度は5mで緑藻が多い様子。前日の嵐のおかげか、表層から水深40mまで綺麗に水が混ざっている状態だった。全層循環までもう少し。しかし湖上は寒い・・・

RNAmmerのインストール

FASTA形式のDNA配列からrRNA遺伝子を探してくるRNAmmer、元論文は2000回近く引用されていて、広く利用されているソフトだ。少量のシーケンス(1万配列、1000万塩基まで)であれば、ブラウザ上から直接配列を投げてサイト上で解析することもできて便利。RNAmmer…

11月びわこ

今日は月例の琵琶湖調査。 気温14.7℃、水温15.9℃、透明度は5.5m。深層の細菌密度は1.0×10^6 cells/ml, ウイルス現存量は2.0×10^7 particles/ml。水温躍層は30m付近まで下がってきていて、昨年よりも確実に冷えるのが早い。去年が暖冬だったおかげで深層の水…

系統地理ワークショップ@京都

京大のセミナーハウスで行われていた生物群横断系統地理ワークショップなるイベントに参加してきた。僕の研究では「なぜ同じ系統の細菌が世界中の別々の湖に共通して生息しているのか?」という疑問があって、他の生物の研究から何かヒントは得られないか、…

微生物生態学会@横須賀

微生物生態学会@横須賀に参加。この学会は、一番僕の研究分野にフィットした学会であると同時に、ものすごく守備範囲の広い学会でもある。感動するくらいマニアックなレベルで自分の研究を評価してくれる人もいる一方で、大多数の研究者は僕のポスターの前…

研究者は芸術的な職業かもしれない

最近ずっと論文を書いている。自身3本目の論文で、博士課程の研究のメインの成果になりつつも、僕の今後の研究のベースにもしたいと思っている論文だ。今回は計画段階から練り込むことができた研究なので、なかなかこだわりの強い内容に仕上げられたと思う。…

10月びわこ

月例の琵琶湖調査に行ってきた。今朝の気温は13℃。そろそろ深層の水(8℃)を触っていると手がかじかんでくる季節。クーラーボックスの保冷材の数を減らせるのはいいのだけど。 水温は23.0℃、透明度はさらに下がって5.5mで、湖も実りの秋。まだ水温が高いのか…

専門分野をもつことで興味の対象が広がる

これまでの人生で進路に迷った時、僕は常に「つぶしのきく」ほうを選ぶようにしてきた。自分は何が得意で、何か好きなのか。どの道が先まで続いていて、どの道が途中で途切れているのだろうか。やってみなければ分からない。分からないのであれば、選択肢は…

9月琵琶湖その2

琵琶湖に行ってました。先月から一変、ひたすら雨が降り続けたおかげで洗堰も久しぶりの全開放流で、湖の水もかなり入れ替わった模様。 水温25.0℃、透明度は6.0mで秋の植物プランクトンの季節になってきた。最近調査・出張に行き過ぎて実験・論文が進んでい…

9月琵琶湖その1

今日は琵琶湖に行ってきた。琵琶湖に行く日はずっと晴れていたのだけど、今日は久しぶりの雨。 雨の影響か表面水温はだいぶ下がって26.5℃。透明度も6.4mまで低下していた。 船上濾過システムもかなり改良が進んできて、採水から20分で10L の水を処理できるよ…

本栖湖・西湖調査

富士五湖の本栖湖(水深121m)・西湖(水深71m)の深層の水を採りに調査に行ってきた。 年々きれいになっていく本栖湖、今回の透明度なんと20m↓ 透き通った湖は海の色ともまた違う、不思議な色をしていた↓ 続いて西湖へ。手漕ぎボートだったので最深地点にた…

ISME@モントリオール

カナダのモントリオールで開催された国際微生物生態学会(ISME)に参加してきた。街の中心部にあるカラフルでおしゃれな会議場で開催。 今回はラボからは自分一人の参加だったのだけど、1年ぶりに会った海外の研究者や、現地で会った日本人研究者と一緒に行…

8月びわこ その2

今日は今月二回目の琵琶湖。ここ最近台風や豪雨もなく、ずっと猛暑が続いていたので、あらゆるものが「真夏の琵琶湖の最強版」になっていた。 まず船着き場についてすぐに目についたのがアオコ。水の動きが少ないと発生しやすいと言われているけど、ずっと雨…

水圏微生物研究フォーラム

「水圏微生物研究フォーラム」なる集会に参加するため、関東出張してました。 水域の環境微生物の研究者のための集会で、昨夏に参加した国際学会のSAME (Symposium on Aquatic Microbial Ecology)の国内版という感じ。招待講演のメンバーを見た瞬間に「こん…

8月びわこ その1

今月は2回琵琶湖に行く予定なので、早速1回目を済ませてきた。 穏やかな夏の朝・・・かと思ったけど、やっぱり日が昇ると暑い。9時の時点で気温は29.7℃、水温は28.1℃。透明度は7.9mまで伸びて、「溶存有機炭素(DOC)豊富、栄養塩(N・P)欠乏」の典型的な真…

初稿という既成事実

月例の調査やサンプル処理は進めつつも、最近はデスクワーク中心の毎日。次の論文に載せるデータを作りながら、そのデータを使って来月の国際学会での発表ポスターを作成中。 前回の論文はかなりスピード重視で書いたけど、今回のはあえて焦らずに分析を深め…

7月びわこ

今日は琵琶湖調査の日でした。ちょっと波風があるけど、良い天気。 気温28度でまだマシな暑さ。水温は26度、透明度は6mに増えて、水中も真夏モードに入りつつある。 いつもは深層ばかり採水しているのだけど、今回は別の目的で久しぶりに表層から採水。やっ…

琵琶湖に生息する微生物の図鑑

自分の研究の論文が出版されたので、簡単に紹介。 Vertical partitioning of freshwater bacterioplankton community in a deep mesotrophic lake with a fully oxygenated hypolimnion (Lake Biwa, Japan) - Okazaki - 2016 - Environmental Microbiology R…

RによるNMDSを用いた微生物群集構造解析

今日も解析で苦労したので備忘メモ。 ※今後、自分の理解に合わせて勝手に加筆・修正するかもしれません。 以下のものは「とりあえず動かすところまで」を目標に書いたものです。もし間違いがあった場合はご指摘くださると有難いです。 なお、今回勉強するに…

湖沼の水質の調べ方

今書いている論文で、日本中の湖沼の水質データが必要になって色々調べたのだけど、結構苦労したので方法を備忘にメモ。 まず、データベースなのだけど、おそらく日本国内の水環境を最も網羅的に調査しているのが、環境省の公共用水域水質測定調査だと思う。…

早期取得断念

今所属している、京大理学研究科(生物科学専攻)の博士の学位の最低取得用件は「査読付き国際誌に一報以上掲載」だ。僕はすでにその基準を満たしていて、できれば早く学位をとって、研究費申請や共同研究の自由度を上げたい、と思い、3年未満での早期取得を…

6月びわこ

今日は月例の琵琶湖調査の日。 湖の北端が見渡せるほど済んだ空気。最近ずっと天気に恵まれている気がする・・・ 透明度は5.6m、水温は21.2℃で、深層の温度は約8.2℃。早速顕微鏡で細菌を観察したけど、今年も例年と同じ変化が起こり始めていて、すごくワクワ…

実験とこだわり

予備実験を繰り返して実験条件が決まったあと、本番サンプルを一気に処理して論文になる結果を出しまくるのは研究で気持ちいい瞬間の一つだ。今まさに昨年採り溜めたサンプルの処理が大詰めを迎えていて、ここ1週間で10万以上の細菌を顕微鏡で数えている。カ…

5月びわこ

5月の琵琶湖調査に行ってきました。 先月に引き続いての快晴、船上作業も快適。気温は19.5℃だけど、表面水温は15.9℃で、まだ汲んだ水を触ると冷たいと感じる温度。透明度は5.7mで少し回復して、春の植物プランクトンの大発生もピークを過ぎた感じ。 成層が発…

最先端の人たちと鳥肌を立てあう楽しさ

↑の記事でも一度触れた内容なのだけど、ノーベル賞をとった大村先生の言葉として本の中で取り上げられている以下の言葉がとても好きだ。 レベルの高い人とおつき合いすることが大事である。レベルの高い人たちとつき合っていると、いつしか自分もそのレベル…

違和感の備忘

今日は自分を棚に上げて批判を展開しますよ。僕が会社員からアカデミアに戻ってきて感じるようになったこと、というか冷静に考えれば会社員なぞ経験してなくても分かるはずなんだけど、会社員時代と比べてアカデミアで見かけることが多いと感じる、改善した…

4月びわこ

今日は黄砂の降り注ぐ琵琶湖に行ってきました。 透明度はわずか4.0m、湖の中も春を迎えて植物プランクトン大発生の最盛期。 そして、今年度から導入した新兵器。↓ 船上で大量濾過を実現。使われずに転がっていたパーツの寄せ集めでほとんどお金かけてないの…

切り替えが必要な感じ

最近仕事のペースが落ちているような気がする。労働時間は長いのだけど、目的意識を持って集中できている時間が少なく、ダラダラと過ごしてしまっていて良くない。 原因は大きく二つあるように思う。一つは、仕事量が飽和してしまっていて、「どうせ終わらな…

全生物の系統樹

全生物の系統樹の最新版が出たということで、昨日は微生物研究者界隈で話題になっておりました。僕はこの論文の存在をTwitterでフォローしている海外の研究者が騒いでるのをみて初めて知ったのだけど、人類の知のフロンティアで戦っている研究者たちがリアル…