yokaのblog

湖で微生物の研究してます

キャリア・考え方

「やらない」の先にあるものは何だろうか

昔から「やること」よりも「やらないこと」を決めるのが苦手だった。性格的に、寄り道だと分かっていても、気になってしまうと一通り納得いくまで進んでみないとどうしても気持ちが収まらない。なのでビシバシと「やらない」選択を決めて効率よくゴールに向…

人を相手にするかモノを相手にするか

人を相手にする仕事と、モノを相手にする仕事がある。人を相手にする仕事が気にするのは「伝わり方」であり、目指す成果は「納得感」だ。モノを相手にする仕事が気にするのは「事実」であり目指す成果は「確かさ」だ。どちらも「結果」を出しているのだけど…

学問はもっと気軽に志せるものであってよい

自分の人生は3年区切りだ。中学生・高校生を3年ずつやったあと、学部3回生まで京都で過ごし、4回生・修士2年の計3年は滋賀の生態研で研究して、その後東京で3年間会社員をやって、再び滋賀の生態研に戻って3年かけて学位をとって、3年任期のポスドクとしてつ…

研究がとても楽しい

若いころに比べると、自分の思考や感情をあまり表に出さないようになってきた。理由は大きく二つある。一つは、歳をとって色々な経験を経て、「考えたことがあること」や「感じたことがあること」が増えたことで、「わざわざ外に発信しなくても、自分の中で…

人生のストーリーを追究したいという非合理なこだわり

学部生時代から一貫して湖で研究を続けているのだけど、事あるごとに「海には興味ないの?」と聞かれてきた。確かに湖よりも海のほうが研究人口が多くて議論も盛んだし、就職での選択肢も多い。地球上の大部分を占める海の研究は単純に湖よりも成果のインパ…

基礎研究を税金で支えなければならないのはなぜか?

税金を使って基礎研究をさせてもらっている研究者として、この問いに対する答えは常に準備しておかなければならない。 そもそも人類の歴史の大半の期間において、基礎研究は金持ちまたは金持ちからの支援を受けた研究者が行うものだった。税金(=国の予算)…

駆け出して2年目

明日で博士号を取って今の場所に来てから1年、ポスドク2年目に突入する。この1年何をやっていたか・・・振り返ると、ひたすら学生時代に集めたデータを論文にする毎日だった。昨年の今の時点で、少なくとも論文3本分のデータが手元にあったのだけど、そのう…

就活するか?博士課程に行くか?

「就活するか?博士課程に行くか?」というのは、これからの時期、多くの修士1年の学生が抱える悩みだ。自分自身も、研究者を志して博士課程に行くつもりで修士課程に入学したのだけど、研究者として食っていくことの難しさを冷静に見れば見るほど不安になり…

山頂の景色を信じてただ登っている

同学年の「すごい研究者」がどれくらいすごいのかをネット上で色々と調べていた。僕には会社員をやっていた3年分のロスがあるので、多くの同学年・年下の研究者が僕よりも経験も成果もある。僕はそのことに焦りを感じている。3年間外で働いたからには何か得…

壁の高さを見誤ってはいけない

今週はほぼ100%の時間を投入してガリガリ論文を書いていたのだけど、月曜日の時点で「水曜までには終わるだろう」と思っていたのが、今(金曜日の夜)になっても終わっていない。論文のストーリーを組み立てたところで出来た気分になっていても、そこから先…

世界とgive & takeするにはまだ早い

最近はデータもやることも無限にあって、中長期的に自分が進むべき方向も見えている状態で、しばらくは迷うことなく仕事ができそうだし、研究成果としても(まだ不確実なことがほとんどだけど)まぁ面白い方向に進んでいるのではないかと思う。 時々「海外に…

あと何本論文が書けるのか

いろんなことに手を出しすぎて手に負えなくなってきている感があると感じる。限界を作るとその限界までしか出来なくなってしまうからできるだけ限界は作りたくないと思っているけど、出来ないことを出来ると思い込んでしまうことには不幸しかない。自分が今…

もう一歩踏み込んだ研究をしたい

公聴会を1月に終えてから2ヵ月。しばらく手を付けられていなかった手元のデータの分析に本格的に取り組んでいる。その間にも次々と新しい論文が発表されて状況が変わっていくし、自分のデータからも色々と面白い発見が出てきて、すでに2ヵ月前に公聴会で発表…

「自分が本当に明らかにしたいこと」は何か?

博士論文提出と公聴会を終え、8月の海外渡航以来ずっとバタバタしていたのがようやく一段落。溜まっているデータを論文にする作業にようやく手を付けている。次の論文を出すまでに時間がかかりそうなことは想定済みのことではあったけど、1年近く論文が書け…

学生最後の1年

今日から新年度、博士課程も残り1年を切った。会社を退職して研究に戻ってきて2年、ここまでは研究の勘を取り戻すことに必死だったけど、だんだんこの生活が当たり前になってきて、良い意味でも、悪い意味でも、緊張がほぐれてきた気がする。 研究に戻って…

研究者は芸術的な職業かもしれない

最近ずっと論文を書いている。自身3本目の論文で、博士課程の研究のメインの成果になりつつも、僕の今後の研究のベースにもしたいと思っている論文だ。今回は計画段階から練り込むことができた研究なので、なかなかこだわりの強い内容に仕上げられたと思う。…

専門分野をもつことで興味の対象が広がる

これまでの人生で進路に迷った時、僕は常に「つぶしのきく」ほうを選ぶようにしてきた。自分は何が得意で、何か好きなのか。どの道が先まで続いていて、どの道が途中で途切れているのだろうか。やってみなければ分からない。分からないのであれば、選択肢は…

最先端の人たちと鳥肌を立てあう楽しさ

↑の記事でも一度触れた内容なのだけど、ノーベル賞をとった大村先生の言葉として本の中で取り上げられている以下の言葉がとても好きだ。 レベルの高い人とおつき合いすることが大事である。レベルの高い人たちとつき合っていると、いつしか自分もそのレベル…

違和感の備忘

今日は自分を棚に上げて批判を展開しますよ。僕が会社員からアカデミアに戻ってきて感じるようになったこと、というか冷静に考えれば会社員なぞ経験してなくても分かるはずなんだけど、会社員時代と比べてアカデミアで見かけることが多いと感じる、改善した…

研究でお金がもらえるということ

賛否ありそうですが、今日はちょっと強めの主張を。 ポスドク問題つまり、アカデミアでポストが無くてなかなか定職が見つからない、という話は、もう10年くらい議論されている話題であり、そこでよく槍玉に挙げられるのが「受け皿を増やさないまま博士を増や…

刺激が欲しい

努力の上限は想像の上限で決まっており、想像の上限は経験の上限で決まっている。これは僕が高校受験の時からずっと思っていることだ。人は、自分が見たことがあるところまでしか自分を高めることはできない。誰かが先に登っているのを見て初めて、自分が登…

自分だからできる研究とは?

先日本屋に立ち寄ったら、機械学習や人工知能の技術書が山積みになっていた。数年前に比べて、これらの言葉は確実によく耳にするようになったし、つい先日ニュースになっていた、碁でプロがコンピューターに負けた話のように、少し前の人々の想像をはるかに…

研究者の出会い系

京大が主催する「100人論文」なるイベントに行ってみた。概要については以下を参照↓ 速報:嗚呼、この素朴な意見交換の喜びや | 京都大学 学際融合教育研究推進センター Web経由で自分の研究内容ややりたいこと、提供できるリソース等を短い文章で投稿してお…

科学は役に立つべきか

基礎科学に対して「役に立たない」と表現を使う人がいる。科学の外にいる人が批判的な意味を込めて使うのはともかくとして、科学者自身が自分の研究を指してこの表現を使うのはありえないことだと僕は思う。 今世の中を便利にしてくれている、「役に立ってい…

かっこいい研究者

「上までのぼりつめた先輩がカッコいい存在かどうか」というのは、自分が飯を食っていく業界を選択するうえで、くだらないことのように見えて、とても重要な要素だと僕は思っている。研究者が研究者を目指す理由って、単に自然が好きとか好奇心旺盛とかいう…

次世代シーケンサーの次にくるもの

鳥取で行われていた微生物資源学会という学会に参加。単離や株の保存に関する学会で、自分がやっている生態の研究からは少し分野違いだけど、ある微生物のことをしっかり知ろうとすると「単離する」のがやっぱり一番効果的な方法で、その道のプロの人たちと…

国際学会@スウェーデン

スウェーデンのウプサラで行われている国際学会(SAME 2014)に参加してます。一年で一番いい時期に来ていて、町並みと気候を楽しんでます。 自分の論文が意外に読んでもらえていたり、やろうとしていたことがすでにやられていたり・・・で、やはり世界の研…

試行錯誤とこだわり

会社員を辞めて研究に戻ってきて、特に「良かったな」と思える瞬間として ① 試行錯誤にしっかり時間を使える ② アウトプットの質にこだわることに時間を使える という2つがある。 アカデミアに比べて、時間(=コスト)の使い方によりシビアなビジネスの世界…

「未来の当たり前」を考える

研究計画を立てるときの話。研究の世界ではだいたい、実際に実験してデータを出している段階から、論文が出版され成果が世間に公開される段階までに、数年のタイムラグがあるのが普通だ。だから、自分が新しい研究テーマを考えるとき、今論文になって出てい…

研究者の自信について

僕の分野に近いところだけの話なのかもしれないけど、会社を辞めて研究の世界に戻ってきて、「研究者ってもっと自信満々でもいいんじゃないの?」と思うことが多々ある。というか、謙虚すぎるのでは、と感じる。 クラスで一番勉強できるやつをみて「あいつと…