yokaのblog

湖で微生物の研究してます

チューリッヒ大 Limnological Station 訪問

エストニアでの学会に引き続いて、チューリッヒ大学の陸水学研究所に2週間ほど滞在してきた。6年前に2カ月半ほど滞在して以来、2回目の訪問になる。チューリッヒ市内から電車で20分ほど出た湖畔にあって、毎朝湖のほとりを歩きながら通勤していた。

前回は調査や実験もして2本の論文になる仕事をしたけど、今回は京都大学チューリッヒ大学の戦略的パートナーシップの支援を受けての渡航で、今後の共同研究の深化に向けて交流を深めることが目的だった。今回ホストをしてくれたのはグループリーダーのStefan Andreiだ。Stefanとは彼がチェコにいたときに何度か会ったことがあって、共著での論文も出ているのだけど、彼がスイスに移ってからは会っていなくて、一対一で話をするのも初めてだった。彼の学生も含めて互いに研究内容がかなり近いこともあり、すぐに意気投合でき、話がどんどん進んで、琵琶湖・チューリッヒ湖双方でのサンプルの蓄積と、互いの得意技術を相乗するような内容で来年度の共同研究プロジェクトに応募する流れになり、申請書のドラフトをつくるところまで進めることができた。

 所長のJakobの含めて、研究所の他のメンバーや学生とも所内セミナーやランチを通じて交流ができた。前回の訪問でも感じたことだけど、単に研究分野が近くて話が合うというだけではなく、頭が良くて尊敬できる人達ばかりで、温かく迎えてもらえたので、とても心地よく過ごすことができた。チューリッヒ大やETHにある他の顔見知りの研究室にもお邪魔させてもらい、2週間のスイス滞在をフルに活用することができた。

 スイス到着後の最初の1週間は雨で息が白いくらい寒かったけど、その週末からは最後の日までずっと晴れて、日本ほど暑くもなく、最高の天気だった。日本と違って、天気の変わり目が極端な一方で、同じような天気が何日も続く傾向があるように感じた。週末は電車で遠出して、2日でイタリア・リヒテンシュタイン・フランス・ドイツを巡る国境越えツアーをした。

最後の週末はStefanが案内をしてくれて、ビール湖・ヌーシャテル湖・ラショードフォンの時計博物館を見て回った。特にスイス領内で最大の湖のヌーシャテル湖は、前回の訪問で行きそびれた場所だったので、天気の良い日に行くことができて感激した。

 エストニアのような激しい飲み会も回避して、最後まで体調を崩すこともなく、毎日充実していてとても楽しかった。国際交流は野外調査と並んで「これがやりたかったから研究者になったのだ」といっても良いくらい、研究者という仕事の魅力の本分だと思っている。世界に数人しかいない、ものすごく狭い世界の興味を共有する仲間と、紛れもない人類最先端の議論を楽しめるこの醍醐味は、他の職業ではありえない。そこで感じる文化や環境の違いや、それを乗り越えて相互理解を深める過程も、研究だけでなく人生の幅も広げてくれる貴重な経験だ。来年度の共同研究の申請が上手く採択されれば、今度はぜひスイスの研究者たちを日本でもてなしたい。