yokaのblog

湖で微生物の研究してます

対面で会うことの価値が上がった

京都化学者クラブに招待をいただいて講演をしてきたのだけど、オンラインではなく対面での発表だった。会場は京大にある楽友会館という素敵な建物で、存在は知っていたけど中に入ったのは初めて。

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公式に対面で発表をするのは2020年2月以来、なんと1年半ぶりだ。そもそも京大に赴任してから8か月が経つけど、ほぼ宇治キャンパスの中で暮らしていて、出張はおろか、本部キャンパスに行ったことすらまだ片手で数えるほどしかない。それどころか、同じ建物にいる別の研究室のメンバーですら未だにほぼオンラインでしか話をしたことがない状況だ。もはや電車に乗って京都市内に行くだけでも冒険気分を味わえる。

 今回は発表者は自分だけだったので、来てくれた方は自分の発表のためだけに足を運んでくれたことになる。オンラインだと発表の時間1分前くらいに一斉に自分の仕事の横でzoomを立ち上げて接続して聞きに来るだけだし、なんなら聞きながら他の仕事をしていたりするわけだけど、対面だと5分前にはほぼ全員来ていて自分の発表が始まるのを座って待っていて、自分の発表が終わるまでは目の前に座って聞いていていてくれる。オンライン発表が当たり前になりすぎてしまったことで、これがものすごく恐れ多いことのように感じられてしまって、対面で集まることの価値が高くなったなと思うと同時に、以前はこれが普通だったということが信じられなくなっている自分にも驚いてしまった。発表は分野外の方向けだったので、できるだけ噛み砕いて説明したつもりだったけど、それでも説明不足なところがあったようで「難しかった」という声があったので、なおさら申し訳ない気持ちになってしまった。 

 今回1年半ぶりに対面の世界を体験して感じたのは、普通に対面で集まれる世界に戻っても、多くの打ち合わせや発表会が「実はオンラインで十分だった」ということになって元のようには戻らないかもしれないということだ。一方で以前書いたように、対面でしか得られない時間や築けない関係というのもあって、対面での活動が完全に無くなるとは思わない。ただ、コロナ前ほど気安く人に会いに行けなくて、わざわざ足を運んで直接話すということが特別な価値を持つ世界になりそうだなと思う。

 ところで今回、大学に足を運ぶついでに、ワクチン2回目の接種を済ませることができた。大学の職域接種で早めに打たせてもらってとても有難い。副反応は1回目は腕の痛みと微熱だけだったけど、2回目は打った夜に39.5度まで熱が上がって悪夢にうなされ、翌日昼には元に戻っていた。これから自分の周りも少しずつ自由が戻ってくるのではないかと期待している。でも、あまりにも自由のない時間が長すぎて、元通りの世界に戻ることは無さそうだと思う。平日の朝や夕方の新幹線がいつも(半分くらいは出張する必要がなさそうな暇そうな)サラリーマンで満席だったあの世界は、たぶんもう見ることがないだろう。