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湖で微生物の研究してます

申請書に壮大なストーリーは要らない

 科研費若手に内定をいただいた。今年の申請書は、落ちてしまった昨年の申請書と比べると、3割くらいの時間で書いた、ある意味手抜きの申請書だ。

 手抜きをしたのは、単にポスドク時代よりも忙しくなって申請書に割ける時間が無くなったこともあるけど、それ以上に、昨年ダメだった理由を考えた結果「大きなことをやろうとしすぎた」のが原因だったという結論に至ったからだ。難しいことは考えず、極限までシンプルにして、極限まで分かりやすくする。それだけで良かったのではないか。研究のスケールを追究して複雑になるよりも、単刀直入に1つの分かりやすい問題に取り組む。そういう内容の方が評価されるのではないか。この方針に切り替えてから、立て続けに申請書が2本採択され、さらに今回科研費も採択され、その考えを確信するに至っている。

 具体的には、昨年の申請書は、大きな問題を細かく漏れなく切り分けて、切り分けられた各課題をさらに複数の仮説に切り分けて、その検証を積み上げながらゴールを目指すような内容だった。一方で今年の申請書は、最初から小さな具体的な問題にフォーカスして、そこに一本道で迫っていくような内容で書いた。そして、後者の方が採択された。

 つまり、複雑で緻密で壮大なストーリーを頑張って考えて制限文字数に収める努力や時間は必要なかったということだ。むしろ努力を払うべきは、いかに話を極限までシンプルに分かりやすくするか、という点だ。もちろん話をシンプルにするのも簡単ではなく、「解決すべき課題は何なのか、そこにどうアプローチすべきか」が完璧に整理しきれていないとできない。でもそれは、普段から勉強して研究していれば、自然に整理されてくるものだと思う。今年の申請書も、普段からずっとやりたいと思っていたことを思っていた通りに書いたので、あまり時間をかけないでシンプル化することができた。

 当然、研究費の助成対象や規模によっては当てはまらない場合もあると思う。けど、科研費若手の規模であれば、壮大なストーリーは心の中にとどめておくべきもので、申請書に書くべきものではない、というのが今の結論だ。