5月に訪問したチューリッヒ大陸水学研究所のメンバーがが同じ共同研究の枠組みで2週間ほど日本に来てくれていていた。前半は国際ワークショップを主催、中盤は合同での琵琶湖調査、最後は東京の共同研究先を一緒に訪問し、そこで見送るという濃い2週間だった。共同研究相手のStefanと3名の学生に加え、なんと所長のJakobまで来てくれることになり、一昨年のチェコの研究者らが来てくれた時と同じくらいのビッグゲストとして、平日も休日もあちこち回って色々食べて、できるかぎりのもてなしで迎えた。
ワークショップは複数の機関からの助成を受けて、韓国や早稲田大学等からも多数の研究者を招いて1日がかりの規模で行った[⇒化研ウェブサイトの開催報告]。この規模の研究集会の主催も、国際ワークショップの主催も初めてで、会場の手配、参加者との情報のやりとり、懇親会の手配、タイムテーブルの作成、琵琶湖エクスカーションの企画まで、3か月ほど前から準備を進めてきていろいろと大変だった。また、複数の研究費で多数の研究者を国内外から招待するということで、事務方の皆さんにも色々と面倒をかけ、とてもお世話になった。その分色々と経験が積めたのは良かったし、ほぼ予定通りに進めることができてほっとした。ただ、一つだけ致命的なミスがあって、エクスカーションの朝に不運な行き違いが重なって、韓国から来てくれた人たちが予定の電車に乗れなくて参加できなくなる事態が起こってしまった。これは本当に申し訳なく、完全に自分の計画ミスで、平謝りするしかなかった。急遽後半の日程を変更し、予定していた琵琶湖博物館はキャンセルして、長浜をゆっくり観光してもらうプランに変更。結果的にこの変更は好評でよかったのだけど、やっぱり暑すぎて、懇親会の翌日で二日酔い気味の人も多かったこともあって、かなり体力的に過酷な一日になってしまった。色々と予定を詰めるのは良くなかったと反省し、同じ失敗は絶対にないようにしなければいけないと思った。
琵琶湖調査もプチトラブルがありながらも予備日を使って目的のサンプルはすべて取り終えることができ、新たに開発した採水器から直接水をフィルターに送り込んで新鮮なうちにサンプルを凍結させるシステムも問題なく稼働した。琵琶湖が最も強く成層している真夏の表層の微生物群集を対象に、メタゲノム・メタトランスクリプトーム・メタプロテオーム、シングルセルゲノム解析の4本立てで超高解像度な解析を展開する予定だ。
東京に一緒に移動した後は訪問先のラボツアーの後に懇親会に参加、そこで最後のお別れの挨拶をしているところに緊急地震速報が鳴り響き、それに話題をもっていかれたところで一人で帰路についたのだけど、新幹線が止まっていて大変な目に。それでも東京駅での座席争奪戦と、京都駅でのタクシー争奪戦に持てる情報を総動員して完勝し、なんとか午前2時過ぎには家に着くことができた。
最後は冷凍サンプルをスイスまで持って帰ってもらうというミッションがあったのだけど、ドライアイスと高級保冷剤と冷凍宅急便を駆使し、台風や地震やお盆の混雑で遅れないかひやひやしながらも、すべて計画通りにサンプルを運んでもらった。翌朝起きたところで、無事サンプルと一緒にスイスに到着したとの連絡が来ているのを見て一安心。全ての日程が無事に終わった。
もてなしの甲斐あって、皆さん楽しかったという連絡を受けて嬉しかったし、自分自身も普段一人ではいかないような場所を一緒に回ることができて楽しかった。こういう世界の研究者と仲良くできるところが、研究者の仕事の魅力だなと改めて思う。とはいえ、解析の結果が出てくるこれからが研究の本番だ。国際共同研究を楽しく続けられるような面白い成果が出せるように頑張りたい。