yokaのblog

湖で微生物の研究してます

出張は無くならない

コロナの谷間を見計らってつくば出張に行ってきた。前所属の産総研で長期培養している微生物サンプルの確認と、まだ京都に移動できていなかった冷凍サンプルの輸送が目的だ。

 まだつくばにいた去年の7月に関西を訪れて以来、半年以上ぶりの出張だ。何もかもがオンラインで大学内の移動すらほとんどない生活が普通になっていたので、電車や新幹線に乗っているだけでワクワクした非日常感を味わえた。コロナ前は毎月のようにどこかに出張に行っていたので、新幹線に乗り込んで椅子に腰かけて、ガラガラの車内の天井を眺めながら車内放送をボーっと聞いて、「当たり前だった風景が画面の外にまだあってよかった」ということをしみじみ感じていたりした。

 ほんの4カ月前まで住んでいたはずなのに、久しぶりに訪れるつくばの印象も変わっていた。つくばの人工的で殺風景な街並みはあまり好きにはなれなかったけど、ごちゃごちゃした京都の道の狭さや渋滞に少しうんざりしていたところなので「きれいで広々としていていいな」と感じた。空間的余裕は精神的余裕に直結するのだと再確認した。4カ月前までいたはずのラボも、大学の環境に慣れたところで改めて訪れてみると新鮮に感じられた。改めて、機材や研究環境に恵まれていたなと思うし、学生がいなくてポスドク以上の研究者とテクニシャンがガリガリと研究を進めていく様に、圧のようなものを感じた。何より、同世代の研究者がたくさんいて久しぶりに色々と話ができたのが楽しかった。地元に帰ってきたかのような安心感があり、改めて、ここでこのタイミングで良い人脈を築くことができたのは本当に幸運だったと思った。同世代の話に刺激を受けて、自分ももっと挑戦的にやっていかなければならないという気持ちも新たにした。やっぱり直接会って雑談含めてダラダラ話す時間はとても大切だし、この交流はオンラインミーティングでは代替できない。このまま出張や学会の文化が無くなると嫌だなと思っていたけど、出張も学会も無くならないんじゃないかな、と少し安心できた。「コロナが明けたら〇〇しよう」とあちこちで言いながら一向にその日が来ないまま1年が経ったけど、もう1年後にはさすがに現実になっていて欲しい。そうなっていない未来も十分に想像できるから怖いけれど。

 培養サンプルのスクリーニングも計画通りに終えて、うまく培養ができていそうなサンプルは詳細な解析をするために京都に持ち帰った。もともと前回の出張で琵琶湖で採った細菌をつくばで培養していたものなので、関西と関東を新幹線で1往復した選ばれし細菌たちだ。面白いものが捕れていてほしい。