yokaのblog

湖で微生物の研究してます

陸水学会@岡山

岡山で開催されていた陸水学会に参加していた。今回は課題講演を企画させてもらったのだけど、その狙いとして「同じ湖を別の視点から研究している人の話を聞くチャンスを作りたい」というのがあった。湖は様々な方面から研究されていて、それぞれの分野で技術や考え方の進化が起こっているはずだけど、実はそれを共有できるチャンスはあまりない。それぞれの分野で研究が進むことで、実は新たに他の分野での問いに答えられるようになっていたり、逆に他の分野からの視点を必要としていたりするかもしれない。そして陸水学会こそ、そのような情報を共有すべき場なのではないか、ということで今回の企画に至った。

 演者にも来場者にも概ね満足してもらえていたのではないかと思うけど、こういう集会を企画するのは初めてだったので、今回どこまで成功したのかは分からない。個人的にはどの発表も気づきに満ちていたし、何よりも、自分の研究対象が全く別の視点から研究されているのを知ること自体が面白かった。研究は、面白いことが何よりだと思う。

 学会自体は3年ぶりの参加だったど、全体を通しての感想は「ああ、こんな感じだったな」という印象だ。正直言えば、微生物生態学会のような派手さはない。研究者数に対して研究対象(フィールド)があまりにも多様なので、「深い研究で世界と勝負する」というよりは、各地の基礎的・記載的な理解をしっかりと進める、というタイプの研究が手広く集まっている。もちろん、理解が進んでいる琵琶湖や霞ケ浦を中心に、最新技術を駆使した先進的な研究もあって、特に個人的には、霞ケ浦での研究をまとめて知る良い機会になった。一方の琵琶湖ではさすがに知っている研究が多かったけど、それでも自分の知らない研究がまだあることを知って、琵琶湖って本当にネタに尽きない面白くて深い研究対象だな、と感じた。

 世の中の学会の多くは技術や目的を共有する研究者の集まりなのではないかと思うけど、陸水学会は「フィールド」を共有する人たちの集まりという意味で特殊だ。陸水学会が無ければ、交流の機会がなかったであろう人が多い。今後もこの学会には様々な出会いを期待したいと思う。