yokaのblog

湖で微生物の研究してます

池田湖調査

 鹿児島県の池田湖に水を採りに来ている。調査日はたまたま寒い日で期待していたような暖かい天候ではなかったけど、この時期でも湖の表層の水温が18℃もあって、水温躍層がまだ25mで、やはり南国の湖なのだなと感じた。

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 最大水深は233m。もちろん今回も深層の水がターゲットで、この水深だと手で採水するのはタフすぎるので、電動リールを使って採水を行っている。

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 池田湖は水深が深いことと、温暖な地域に位置することから、水が深層までしっかりと混ざらず、水深150m以下は貧酸素状態になっている。躍層直下の50m付近はしっかりと酸素があるので、鉛直的に水を採ることで、様々な溶存酸素濃度の深水層をターゲットにすることができる。これまでの研究で好気的な層ではCL500-11やMGI(アンモニア酸化古細菌)など、おもしろい細菌が優占していることが分かっていて、今回はさらに採水量を増やして彼らのメタゲノム分析を行うとともに、前回は調査できなかった、微酸素・貧酸素の水層まで調査を行うことが目的だ。池田湖は有酸素の深水層が出現する湖としては温暖な地域にあって、深水層の水温(11~12℃)も他の湖と比べるとかなり高い。今回得たサンプルは早速年度内にシーケンスにかける計画になっていて、前回得られなかった貧酸素層の細菌群集の分析や、他のより寒冷な地域にある湖との比較によって、生態・進化的に面白い発見ができないかと考えている。結果に乞うご期待です!