yokaのblog

湖で微生物の研究してます

例外としてこなしてしまった1年

 歳をとるごとに冬休みが短くなり、年末に年末感を感じられなくなってきているのだけど、今年は帰省も自粛せざるをえなくなって、例年にまして年末感が無い。せめてこの1年を振り返ってみようと、少し考えてみたけれど、あまり思い出せることがない。特に、家に閉じ込められていた4月5月の記憶はほとんどない。

 記憶に残る出来事が少なかったのは、そもそも精神的に辛いことばかりで思い出したくないということに加えて、今年はあらゆることが「例外」として処理されてしまい自分事にならなかったという理由も大きいと思う。「今のイレギュラーな生活は、世界が元通りになるまでの辛抱だ」と考えている間に、とうとう世界が元通りになることはなく、1年が終わってしまった。毎年出ていた学会もほとんど無くなり、海外どころか国内出張もほぼ消滅して、「今年は例外だから仕方ない、来年は元に戻ってできるようになればいいな」と思っていたけれど、その見通しが立たないまま年明けを迎えようとしている。

 それに加え、今年の自分には異動という「例外」も重なった。異動前の10月・11月は、引っ越し準備だったり、仕事・生活の両面で「ポスドクで時間のあるうちにしかできないこと」に注力していたという点で「例外」だったし、12月は新生活・新環境への適応で精いっぱいで毎日が「例外」だった。送別会・歓迎会・忘年会・新年会が開かれることもなく、飲み会でワイワイ話す機会が一切ないまま新しい環境での人間関係が作られようとしている点でも「例外」だ。

 結局この1年、あれもこれも「普通」ではない「例外」という位置づけになってしまったせいで、「生活している」というよりも「こなす」ような生き方をしていて、「本番の生活」を送った感覚があまりない。厳しく言うと「例外」を言い訳にして、その場しのぎの毎日を送ることに満足してしまっていた面があった。それで、記憶に残るような出来事や進歩の無いまま、1年が過ぎてしまった。これが自分のこの1年の振り返りであり、反省だ。

 残念ながらこの先も世界が元に戻る見通しは立たない。「例外」のように考えていた毎日が実は「本番」なのだという気持ちをもって、楽しい記憶の残るような1年に来年はしたい。