yokaのblog

湖で微生物の研究してます

抽出マラソン完走

昨年から今年にかけ、12カ月×2水深にわたって採集した琵琶湖メタゲノム・メタトランスクリプトームサンプルのDNA/RNA抽出が完了した。限られた量のサンプルからできるだけ多くのDNAとRNAを同時に抽出するべく、8月ごろから時間をかけて慎重に条件検討を進めてきて、今月に入ってから一気に本番のサンプルをさばいた。毎度思うことながら、核酸抽出作業は最高レベルの集中を維持し続けることが求められるくせに結果が安定しないし、それなりの時間がかかるくせに最後の最後まで成否が目に見えないから好きではない。今回は莫大なコストがかかった貴重で重要なサンプルなだけに、自分自身でさばく他に手が無いのは分かっていたけど、始める前から憂鬱で、始まってみたら、心身やスケジュールへのダメージを最小限に抑えるべくもともと張り巡らせていた予防線を下回る勢いで、想像以上にうまくいかなくて時間がどんどん消えていった。「採り直しの効かないサンプルで絶対に失敗できないプレッシャー」と「核酸抽出にこんなに時間を使っている場合ではないという焦り」に挟まれ、精神的疲労の溜まる日々だった。1年半の努力の結晶が48本のチューブに集約されたのを見て、達成感や安心感以上に「もうやらなくていいんだ」という嬉しさのほうが大きかった。終わって良かった。f:id:yokazaki:20191113002259j:plain