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英文校閲の結果を逐一確認しながら元の原稿上で反映させる方法

 論文の英文校閲、これまでいくつかの業者をこれまで試してきたけど、今のところはTextcheckというところが料金と納期とクオリティのバランスがとれていて満足度が高い。ただ一つイケてないのが、納品されてくるワードファイルのフォーマットが変更されていて、書式やスタイル、図表の位置、フィールドコードなどのメタ情報が破壊されて返ってくることだ。特に自分は引用文献リストをMendeleyのワードプラグインで管理しているので、後々のリバイスで文献の登場順や投稿先が変わる可能性を考えると、フィールドコードの情報はどうしても残しておきたい。また、校正された英文が自分の意図した通りに解釈されておらず、違った方向に直されていることも多々あるので、校正された部分は結局一字一句チェックする必要がある。

つまりやりたいことは

英文校閲前のワードファイルのフォーマットを引き継ぎつつ、英文校閲による変更部分だけを逐一確認しながら確定させていきたい

ということになる。で、複数ファイルの情報をマージするワードの機能が使えるのだけど、この使い勝手がとても悪い。毎回同じことをやるのに手こずって時間を浪費しているので、その手順を備忘としてまとめておく。

  1. まず元の原稿のバックアップをとっておく(後述するように、上書きする形にしなければやりたいことが達成できない)。
  2. 元の原稿を開いて、「校閲」タブの「比較」から「比較」を選ぶ(「組み込み」は2か所以上で行われた変更をマージする機能なので今回の用途では使いにくい)
  3. 「元の文書」に元の原稿(今開いているファイル)を、「変更された文書」に英文校閲業者から納品されてきたワードファイルを選択する。
  4. 「比較の設定」は「挿入と削除」「移動」「文字種の変換」「空白文字」を選択(納品物の文字情報だけを変更に反映させるため。特に「書式設定」のチェックを外しておくことがポイント)
  5. 「変更の表示単位」は「単語レベル」に
  6. 「変更の表示対象」を「元の文書」に。ここが一番ややこしいのだけど、上記の「書式設定」のチェックを外したことで、変更後の文書のフォーマットとして、表示のベースになる文書のフォーマットが引き継がれることになる。今回は元の原稿のフォーマットを使いたいので「元の文書」を選択する。「新規文書」を選んでしまうとなぜか英文校閲後の文章の方のフォーマットが採用されてしまう(自分はここでハマって時間を浪費した)。
  7. 元の文章のフォーマット上に英文校閲後の情報が変更履歴として表示されている状態のものが表示される。この状態でいったん保存する。
  8. 変更履歴を逐一確認しながら確定させていく。反映させて良い変更は「承諾」、反映させたくない変更は「元に戻す」を押して確定する。
  9. ややこしいのが、上記の「書式設定」を外したことで採用されるのは元の文書のスタイルや行間等の情報だけで、フィールドコードやhttpリンク、図表の位置などは反映されていない点。なので、これらの情報については、上記の作業で「承諾」せずに「元に戻す」を押すことで元の文書のほうの情報を確定させる(この手作業は間違いが起こりそうなのでできるだけ回避したかったけど、今のところ良い方法が見つけ出せていない)。(追記)引用文献がフィールドコードではなくコンテンツコントロールで管理されている場合(Mendeley Citeなど)、この方法では引用リンクの情報が消えてしまう場合がある。その場合は、元のファイルを一旦違う雑誌の引用スタイルに変更して、引用部分において英文校閲前後のファイルでの重複が起こらないように設定((1)から(xxx et al.)"のように)してかさ作業することで、「コンテンツコントロールごと削除された」扱いになるので、「変更を元に戻す」操作により引用リンク情報を復活させることができる。
  10. 最後まで確定したら、ファイルを保存。
  11. で、一応は作業完了のはずなのだけど、今回自分が扱ったケースではなぜか(書式設定に含まれるはずの)文字サイズが英文校閲後のファイルの方を採用していて、文中で文字サイズが統一されていないという問題が残っていた。なので、全選択して文字サイズを統一。
  12. 一方で、英文校閲で修正してくれた書式変更(学名、遺伝子名やet al.をイタリックにするなど)はこの修正では反映されていない。上記4.のステップで今度は「書式設定」のみにチェックをすることで、元の原稿と校閲後原稿の書式設定の差を見ることができるのだけど、あまりにも変更箇所が多いので、不要な書式変更から必要な書式変更だけを探してくるのは難しい。ここも今のところは良い方法が見つかってなくて、最初からイタリックの修正などを指摘されないように気を付けて原稿を書くことくらいしか解決方法が思いつかない。

というわけで、色々めんどくさい。もっと楽にできる方法があれば誰か教えてほしい。