yokaのblog

湖で微生物の研究してます

医学部はかっこいい

東海大学の医学部で行われた「感染症診断と治療におけるゲノム解析」というシンポジウムに招待いただき、講演してきた。まだ駆け出しの身分にも関わらずそうそうたる先生方と同じ枠で招待してもらっただけで恐れ多いのに、これまでほとんど接点のなかった医学部の研究者らの前で「生態学方面からの最前線の話を是非してもらいたい」というリクエストだったので、かなり緊張した。

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▲つくばから約120km、関東平野をほぼ横断して伊勢原駅につくと、会場のある病院が城のようにそびえ立っていた。

 発表はできるだけ手法や業界の動向に焦点を当てて、非生態学の分野の方々にも参考になる内容にしたつもりで、それなりに質問も頂いたので、何とか役目は果たすことができたかなとは思う。一方で自分が得たものも多くて、医学系の研究の現場の問題意識、手法や考え方の流行などの違いを、短時間の発表の中でも多々感じることができ、面白かった。何よりも、発表やその後の懇親会での会話の中で、「やっぱり医学の研究ってダイレクトに役に立っていてかっこいいな」ということを感じた。もっと言うと「それと比べて自分の研究は趣味みたいで申し訳ないな」という気持ちにもなった。自分と同じように微生物を対象にしていて、自分と同じような方法で微生物にアプローチしているのだけど、サンプルは研究室のすぐ横の病院で治療している患者さんから採取したもので、目の前の命に係わる問題と戦っている。もちろん自分がやっているような微生物の進化や生態に迫るような研究だって重要で、医学にとっても役に立つことがあるし、それができるのが理学の特権であり、魅力であり、役割であると思う。それでも、同じような研究方法を使っていながら、別世界の最先端に立つ人達のことを知ることができたのは、自分の立ち位置や可能性を相対的に見直すきっかけとして、また医学部の研究のかっこよさを知る機会として、良い経験だった。