yokaのblog

湖で微生物の研究してます

徳山湖

日本中の深い湖でレアな細菌を捕獲しまくるプロジェクト、北海道から鹿児島まで制覇したけどダム湖はこれまで未攻略。というわけで、岐阜県にある貯水量日本最大のダム、徳山ダム湖に行ってきました。ダム管理所の方に許可をいただき、船で最深地点(約120 m)まで行って、深層の水を採集。

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面積は諏訪湖並みで、端から端までなんと20 ㎞以上。こんな山奥にこんな大きな湖が!という感じです。このダムは毎月水質調査をやっていて、そこに同乗させてもらう形で参加したのだけど、調査係の人によれば、クマが泳いでいることもあるんだとか。冬は2 m近く積雪するらしい・・・

 

2008年竣工のかなり新しいダムなんだけど、村が丸々底に沈んでしまった経緯があって、湖のほとりにはその名残がいくつか残っている。

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まだこのエリアで暮らしている人たちもいるとのことで、山奥の湖なのに、なんとカーフェリーが浮かんでいた。

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なぜこのダムを調査するのか?それはこのダムが「大きくて深くて水が綺麗」という以外に、「新しい」というところに目をつけているからです。全世界どこの湖でも、深いところに似たような系統の細菌が生息することが明らかになりつつある。けど、なぜ同じものが違う湖に分布しているのか?例えば、琵琶湖の深層水と、摩周湖深層水は、絶対に混ざり合うことはないはずだ。深いところにしか生息しない細菌が、どうやって分布を広げてきたのだろうか?これは、系統地理・進化的にも面白い問題じゃないかと思っている。

 この徳山湖は、できてからまだ10年も経っていない、世界的にも珍しい大水深淡水湖だ。もし細菌が実は頻繁に湖を行き来できる存在なのだとすれば、できてから7年のこの湖にも、他の湖と同じ細菌が生息しているはずだ。そうでなければ、まだその細菌は侵入できておらず、深いところにはもっと分布を広げやすい別の細菌が生息しているはずだ。果たしてどのような細菌が生息しているのだろうか?結果がとても楽しみです。

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