yokaのblog

湖で微生物の研究してます

出張は無くならない

コロナの谷間を見計らってつくば出張に行ってきた。前所属の産総研で長期培養している微生物サンプルの確認と、まだ京都に移動できていなかった冷凍サンプルの輸送が目的だ。 まだつくばにいた去年の7月に関西を訪れて以来、半年以上ぶりの出張だ。何もかも…

シェルのパイプからRを使って最大値や平均値を簡単に得る方法

シェルでデータテーブルを触るのにawkがよく使われるけど、最大値・最小値・平均値などを計算しようとすると結構めんどい。Rでやれば2語で済むような処理も、awkだとifやforを使って複数行を使って書かなければできなかったりする。自分はRのほうが得意なの…

論文出版社がますます嫌いになった話

前回の記事では、今回出版した論文の内容を簡単に紹介したのだけど、どちらかというと書きたかったのはこっちだ。今回の論文は初稿完成から出版まで9カ月かかった。9カ月という期間だけみると、そんなに長い方ではないのかもしれない。だけど、原稿がこちら…

離れた湖にいる細菌同士はやっぱり違う

学生時代に手を付けていた最後の仕事がようやくpublishされた。 当時調子に乗って広げまくった風呂敷を畳むのに、結局3年弱を費やしてしまったけど、何とか形にできてよかった。これで本当の意味で、博士課程でやっていた研究は完了したといえる。また本研究…

研究がとても楽しい

若いころに比べると、自分の思考や感情をあまり表に出さないようになってきた。理由は大きく二つある。一つは、歳をとって色々な経験を経て、「考えたことがあること」や「感じたことがあること」が増えたことで、「わざわざ外に発信しなくても、自分の中で…

例外としてこなしてしまった1年

歳をとるごとに冬休みが短くなり、年末に年末感を感じられなくなってきているのだけど、今年は帰省も自粛せざるをえなくなって、例年にまして年末感が無い。せめてこの1年を振り返ってみようと、少し考えてみたけれど、あまり思い出せることがない。特に、家…

違和感がないという違和感

京大に着任してから最初の2週間が経った。つくばから京都へ引っ越して中0日で初出勤で、生活も仕事も何もかもが一気に変わって、脳が適応するのに精いっぱいで、夢の中にいるかのようなフワフワした2週間だった。ようやく仕事環境の整備や、家の片付けも一…

人生のストーリーを追究したいという非合理なこだわり

学部生時代から一貫して湖で研究を続けているのだけど、事あるごとに「海には興味ないの?」と聞かれてきた。確かに湖よりも海のほうが研究人口が多くて議論も盛んだし、就職での選択肢も多い。地球上の大部分を占める海の研究は単純に湖よりも成果のインパ…

申請書書きは嫌いじゃない

科研費シーズンということで来年度の申請書を書いていたのだけど、これまでの申請書類と比較して今回はかなりスムーズに書くことができた。今までは文章を書きながら考えたり文献を探したりということが多かったけど、今回は箇条書き状態でしっかりと煮詰め…

デスクトップPCを導入した

これまで2コア4スレッドCPU、8GB RAMの普通のモバイルPCで全ての作業を完結させていたのだけど、今回新たにデスクトップPCを導入して、解析環境を一新した。 メタゲノム解析をするようになってから、ストレージもCPUもメモリも桁違いに要求されるようになり…

遠くなった琵琶湖

関西に置いてきた培養サンプルが回収できずにずっと研究が止まっていたのだけど、県外への出張が許されるようになったので、4か月半ぶりの出張に行ってきた。行く途中、4か月半行っていない東京がまだ本当にこの世に存在しているのかをこの目で確かめるのが…

自分が変わらなければならないのか?

コロナウイルスの自粛期間に入って約3か月が過ぎた。出張はもちろん、出勤すら満足にできない我慢の日々を過ごしている。思い起こせば、2月末に関西出張に行った頃にはもう日本で感染者が確認され始めていて、マスクをしてドアノブや手すりをできるだけ触ら…

ポスドク3年目の論文の書き方

学位を取って2年が経ち、今月からポスドク3年目に突入した。学生時代にとった論文化できていなかったデータのうち、3本目となる最後のネタの原稿をようやく書き上げた。調子に乗って広げ散らかした風呂敷達を畳むのに結局2年もかかってしまった。これからは…

Rの作図におけるベストな配色の選び方

論文のFigはほぼRで描いているのだけど、複雑なデータをコンパクトに見せるためにカラフルな図を作ることが多い。そこでいつも悩むのが「いかに効率よく配色するか」ということだ。カスタムの配色セットを作ってみたり、カラーパレットのパッケージをあれこ…

96wellの細菌を1時間半で数えてくれる機械

96wellフォーマットでセルカウントができるフローサイトメーターがやってきた。数年前からずっと欲しいと思っていたのだけど、今回、ラボで導入することが決まり、とてもありがたい。 早速、琵琶湖で採ったサンプルを使ってカウントをやってみた。最初は閾値…

基礎研究を税金で支えなければならないのはなぜか?

税金を使って基礎研究をさせてもらっている研究者として、この問いに対する答えは常に準備しておかなければならない。 そもそも人類の歴史の大半の期間において、基礎研究は金持ちまたは金持ちからの支援を受けた研究者が行うものだった。税金(=国の予算)…

新着論文の集め方・文献管理方法

今月で2010年代が終わる。改めて「2020」という文字を見ると、近未来感があって少しワクワクする。そんな感想も今月限りなのだと思うと寂しい。世界の情報化はますます進んで、「インプットよりもアウトプット、スピードこそが価値」みたいな考えが幅を利か…

コンティグ・ゲノムへのリードマッピング・カバレッジの計算方法

メタゲノムやメタトランスクリプトームの解析をやっていると、コンティグやゲノムのカバレッジを決めたい場面が多々出てくる。アセンブル前のリードを、アセンブルしたコンティグやゲノムにアライメントして、マッピングされた(貼り付いた)リードの量(正…

抽出マラソン完走

昨年から今年にかけ、12カ月×2水深にわたって採集した琵琶湖メタゲノム・メタトランスクリプトームサンプルのDNA/RNA抽出が完了した。限られた量のサンプルからできるだけ多くのDNAとRNAを同時に抽出するべく、8月ごろから時間をかけて慎重に条件検討を進め…

琵琶湖の細菌・ウイルスのゲノムカタログ

先日プレプリントを公開していた論文がEnvironmental Microbiology誌にてPublishされた。 データ量もかけた時間もこれまでの仕事を圧倒しており、今までで一番手がかかった論文だ。最初にこの研究の構想に至ったのがD1だった2015年の秋で、共著者の方々に声…

学会4連続

ドイツでのSAMEに引き続いて、微生物生態学会(甲府)・地球化学会(東京)・陸水学会(金沢)と参加してきた。 微生物生態学会では陸水学会との共催シンポジウムのオーガナイザーを務め、地球化学会は招待講演で分野外の研究者の前で30分も発表の時間をいた…

チェコ・ドイツ出張

2週間弱のヨーロッパ出張から帰ってきた。まずは毎年訪れているチェコ南部のČeské BudějoviceのInstitute of Hydrobiologyを訪問。日本からチェコの直行便はなく、乗り継いでプラハまでたどり着いたとしてもそこから3時間以上の電車旅が待っている。なので今…

文章力は学校で教わらなかった

ここ最近、申請書も論文も落とされまくっている。これまで割と順調に来ていただけに、なかなか精神的に堪える。何より、頑張って準備した書類が理由も教えられずに全否定されて無に帰する徒労感が辛い。世界は厳しい。まぁそれでも「60点でよい仕事で100点を…

登った山からの景色は楽しまなければならない

難産だった琵琶湖の細菌・ウイルスメタゲノム論文をようやく投稿。同時にbioRxivでプレプリントを公開した。 僕は元々顕微鏡仕事から微生物生態学の世界に入ったので、この論文の研究を始めた頃はショットガンメタゲノムの原理もゲノミクスの基礎もほとんど…

ベクタ画像をワードに貼りつけてPDF出力する方法

昨日に引き続いて論文投稿作業の罠にハマってしまったので備忘で書く。 やりたかったことは ベクタ形式の図をワードの原稿上に貼って、ベクタ形式のままPDFとして出力したい という毎日世界中で死ぬほど発生してそうな作業だったのだけど、調べても驚くほど…

英文校閲の結果を逐一確認しながら元の原稿上で反映させる方法

論文の英文校閲、これまでいくつかの業者をこれまで試してきたけど、今のところはTextcheckというところが料金と納期とクオリティのバランスがとれていて満足度が高い。ただ一つイケてないのが、納品されてくるワードファイルのフォーマットが変更されていて…

平成も琵琶湖もおしまい

昨年の5月から毎月続けてきた琵琶湖の調査、12か月分のサンプルを採り終えて一段落。毎回つくばから滋賀まで往復するのは大変だったし、途中で船が使えなくなって予定が大きく狂うトラブルに遭いながらも、色々な人に助けてもらって何とかここまで来れた。ホ…

駆け出して2年目

明日で博士号を取って今の場所に来てから1年、ポスドク2年目に突入する。この1年何をやっていたか・・・振り返ると、ひたすら学生時代に集めたデータを論文にする毎日だった。昨年の今の時点で、少なくとも論文3本分のデータが手元にあったのだけど、そのう…

医学部はかっこいい

東海大学の医学部で行われた「感染症診断と治療におけるゲノム解析」というシンポジウムに招待いただき、講演してきた。まだ駆け出しの身分にも関わらずそうそうたる先生方と同じ枠で招待してもらっただけで恐れ多いのに、これまでほとんど接点のなかった医…

忘れられない本

ふと「最近本読んでないな」ということを考えた。学部・修士時代には月に1冊以上は読んでいたし、会社員時代は片道40分の電車通勤があったので本を読む習慣ができていたのだけど、その後は通勤も車か自転車になり、たまに本を読めるようなヒマができたとして…