yokaのblog

湖で微生物の研究してます

意地の琵琶湖採水

 4月につくばに移ってからも定期的に琵琶湖に通って水を採っている。片道5時間以上かかるのでなかなか大変だけど、「自分の足で一次データを集めて研究を差別化すること」の強さと必要性をこれまでも感じてきたから、多少無理してでもやっておきたいと思って続けている。

 実は先週が調査の予定だったのだけど、船にトラブルが起こって当日キャンセル。時間も金も無駄になって、スケジュールもぐちゃぐちゃになって心が折れかけたけど、意地を見せて2週連続で滋賀に来て、なんとか昨日無事調査をすることができた。

今回は生態研の船に代わって、もともと県の調査船だった「はっけん号」での採水。

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いつもの船よりも大きくて、船上での作業スペースも十分。

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濾過システムも改良を重ねて、今使っている方法では、沖合で採水した湖水約8Lから真核微生物・原核生物・ウイルスの3画分を分けて収集し瞬間凍結するまで30分強で行うことができる。これにより、メタゲノムだけでなく、メタトランスクリプトームのサンプルも同時に収集している。他の湖ではここまでの作業が船上で出来る環境はなかなか無いと思う。またこれを個人レベルでコンパクトかつ自由に行えるというのもポイントだと思っている。例えば海の研究だと、スケールが大きすぎてこうはいかないと思う。「琵琶湖ならでは」を活かした研究にしたい。

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外は灼熱で、表水温も30℃近くまで上がっていた。いつもなら汗をサンプルに垂らさないように注意しながら作業するレベルだけど、はっけん号にはなんと冷房がついていて、快適に作業をすることができた。

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今回は共同研究のサンプル採集もあって、船の上で40L以上の水を濾過。これもスペースが広いおかげで効率的・快適に行えた。

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プランクトンネットで集めた植プラをフィルターに捕集したところ。採りすぎて厚さ数ミリの植プラの層ができて、フィルターを折ると抹茶のお菓子みたいな見た目になった。

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↑植プラは緑藻が多くて、優占していたのはStaurastrumだったけど、相変わらずMicrasteriasもたくさんいた。久しぶりにPediastrumも見た。やっぱりかわいい。あとは珪藻と藍藻がちらほら。

 今回の調査は、色々な人を巻き込んでいてやることが多かったうえに、初めての船・初めての環境だったし、そもそもリベンジなのでもう絶対に失敗できないということもあって、最後までトラブルが無いかとても不安だった。無事に採り終えた後は、しばらく経験したことがなかったくらいの達成感があった。ただ計画通りに水を採っただけなんだけど。嬉しかったので素直に喜んだ。