yokaのblog

琵琶湖で微生物の研究してます

実験とこだわり

 予備実験を繰り返して実験条件が決まったあと、本番サンプルを一気に処理して論文になる結果を出しまくるのは研究で気持ちいい瞬間の一つだ。今まさに昨年採り溜めたサンプルの処理が大詰めを迎えていて、ここ1週間で10万以上の細菌を顕微鏡で数えている。カウンターを押す右手人差し指が腱鞘炎になりそうな勢いだ。

 細菌のカウントだけなら、正直、単純作業だ。自分じゃなくてもできる。お金があったら、バイトにお願いして、その間に自分は論文を書くなど、より高度な作業に時間を割くべきだと思う。

 だけど、お金が無いから、自分で全部やるしかない。だったら、カウントするだけではつまらないので、顕微鏡を直接見た人でなければ分からない気づきを色々と論文に盛り込んでやろうと、写真を撮ったり、形を分析したり、何にくっついているかを調べたり、色々なプラスアルファを盛り込んでいる。結局、時間が余計にかかるのだけど、なかなかクオリティの高いデータが得られているのではないかと思う。

 今の時代、シーケンサーで得た塩基配列だけで結果を語る研究がとても多い。確かに、デジタルで美しい結果が、大量に出てくるから、それだけで分析しがいがあるし、手っ取り早く話をまとめられるとは思う。でも僕は、やっぱり生き物の研究をしているから、その姿を「見る」ことが、重要だし、根源的な興味としてあるべきではないかと思っている。

 研究の目的は、論文を書くことではない。世の中に新たな知見と、ワクワクを提供することだ。結果ばかりが求められる世の中だけど、研究者はその中でもまだ、大いに「自分の仕事にこだわる」余地が許されている幸運な職業だと思っている。顕微鏡で観察した結果を自分の「こだわり」として、しっかりと論文に盛り込みたい。書きたいのは、「とりあえずやりました論文」ではなく「やりすぎすげぇ論文」だ。