yokaのblog

琵琶湖で微生物の研究してます

微生物生態学会&中禅寺湖調査

つくばで実験⇒土浦で微生物生態学会中禅寺湖で調査、というスケジュールをこなし、さすがに疲れております。ひとまず全行程無事故で良かった。

微生物生態学会は、僕が参加している国内の学会の中では一番規模が大きく、アクティビティも高くて面白い学会だ。とくに、新手法・新技術を使った研究の質がとても高い。微生物の研究は「手法・技術の革新⇔新発見」という性格が強いこともあり、最先端での様々な試行錯誤を垣間見ることができて、とても勉強になる。また、

白黒がはっきりした、反証可能性の高い研究が多い

という点も、僕がこの学会の好きなところだ。平たく言えば、「統計的有意差に頼らない、確固たる発見ができる」ということだ。例えば「この遺伝子を潰すとこの機能が失われた」「この細菌はこういう環境にしかいない」「単離株がとれたので生理活性を調べた」みたいな研究は、誰がどこで追試しても、それが本当かどうかを調べることができる。

もちろん、大量のデータをうまく解釈して傾向を見出していく研究も重要だけど、そのような研究は、白と黒の境目がはっきりしないことが多く、本当かどうかを確かめることが難しい。「結果オーライ、予測さえできればいい」「まずは仮説出しができればいい」という目的で研究するのであればそれで十分だけど、プロセスをきちんと把握しようとすると、やはり「白か黒か」という反証可能なレベルにまで問題を分解し、きちんとそれに答える必要があるのではないだろうか。

言うまでもなく、こういうことができるかできないかは、分野の特性が大きい。微生物の研究は、

・世代時間が短く、小さな生き物を扱っているので繰り返し実験が簡単

・塩基配列というデジタルなデータが主軸にある

という点で、反証可能な研究がしやすい分野であることは間違いない。大型動物の生態や、気候変動の研究に同じレベルを求めるのは無理なことだ。このような点で、微生物の研究は、自分の興味・性格的にもマッチしているなぁと感じる。

一方で、学会で様々な研究を聞いていて「自然を単純に見すぎでは?」と思うことも多々あった。具体的には「単離株での実験結果を自然に当てはめすぎでは?」ということだ。よく言われているとおり、環境中の細菌のほとんどが難培養の細菌だ。しかも単離できる細菌は環境中で優占するものではなく、どちらかというとマイナーで数少ないものであることが多い。つまり、環境中からとれてきた単離株で室内実験をし、結果を得たとしても、その結果はもとの環境に生息する細菌のごく一部の挙動でしかなく、全体を説明するには程遠いということだ。

もっと、培養に頼らない方法で、自然界の微生物を捉える研究が必要なのではないだろうか。もちろん、業界のトレンドはそういう方向にシフトしつつあるけれど、まだスピードが遅いように感じる。微生物の研究者は、研究室に籠らず、もっと現場・フィールドに出て、自然の環境がいかに得体のしれない微生物で埋め尽くされているかを目の当たりにする機会を持ったほうが良いのではないだろうか、と難培養だらけのフィールドでやっている一介の研究者として感じたのでした。f:id:yokazaki:20151022192436j:plain

学会後は中禅寺湖の調査。中禅寺湖は湖面標高約1300m、大型湖沼としては国内で最高地にある湖。最大水深は163 mで、深層は年中4℃以下。表層水温はまだ14℃あり成層していた。終わりかけの紅葉の中で楽しい調査だったけど、そっから滋賀に帰ってサンプルを処理するのが大変でした・・・良い水が採れました!

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