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yokaのblog

琵琶湖で微生物の研究してます

研究者の自信について

 僕の分野に近いところだけの話なのかもしれないけど、会社を辞めて研究の世界に戻ってきて、「研究者ってもっと自信満々でもいいんじゃないの?」と思うことが多々ある。というか、謙虚すぎるのでは、と感じる。 

 クラスで一番勉強できるやつをみて「あいつとは頭の作りが違う」とか、テレビに出ている人をみて「別の世界の出来事だ」とか考えちゃう感覚に似ているような気もするけど、なんだか、最先端の世界と、自分の間に、線を引いちゃっている人が多いような感じがする。研究者って本人が思う以上に最先端に近いところにいるし、「最先端でなければならない」と思う。特に基礎研究だと、同じテーマで研究している人は世界に100人くらいで、同じ材料や生物を扱っている人になると、数人しかいない、というのも普通なことだと思う。そんななかで、税金で食わせてもらっていながら、「最先端にはやっぱり敵わんなぁ」とか言っているのは、さすがに無しで、「この分野で一番先を走っているのは自分だ」と堂々と言えないとダメだと思う。

 僕は研究者は、「リスクの少ないベンチャー企業の経営者」みたいなものだと思っている。研究費は前払いで、借金もないので、リスクはベンチャーを起業するよりもずっと少ない。けど、新分野に挑戦して目途を立てる、その計画をアピールしてお金をとってくる、そのお金をうまく使って実力をつける、その実力でさらに次のお金をとってきて、次第に名が売れてきて、優秀な人材や、有力な組織が周りに集まってくるようになり、好循環が生まれる・・・という点では、起業と同じようなことをやっていると思う。

 だから研究者は「自分は起業と同じくらい難しくてチャレンジングなことをやっているのだ」という覚悟を持つべきだと思う。「最先端で戦っている」という自負を持ち、「このままだと競合にトップをとられてしまうのでお金が必要なんです!」とアピールし、資金をとってこなければならない。しかもそうしたって、うまくいかないことのほうが多くて、でもくじけずに次の資金をとりにいかなければならない、厳しい世界だ。この点で研究者は、ベンチャー企業の社長と同様、かなりの自信と熱意が無いと、務められるものではないと考えている。

 世の中の平均と比べると、研究者(特に僕の分野に近い人たち)は謙虚で素直で正直な人が多いと思う。けど、それで損をしてしまうのはもったいない。実力以上に自信満々に振る舞うことには抵抗もあるけど、そうすることで自分を追い込む効果もあるし、そもそも社会は一定程度はそういう「空の自信」で回っているところもあると思う。だいたい、いかなる自信にも根拠などないのだから、自信は持てるだけ持っておいたほうが良いのではないか。もっとみんな、自分が最先端だ、という自信(というか覚悟)を持ったほうがいいんじゃないか。

 すこし会社員の世界で毒された人間の意見かもしれない。けど、僕はこういう意識をもつことは結構大切なことだと思っている。