yokaのblog

琵琶湖で微生物の研究してます

NGS現場の会 1日目

今日からはバイオインフォ周りの情報収集を目的に、つくばでやっている「NGS現場の会」という学会に参加。今日は初日なので半日だけだったけど、規模も大きくて、勢いのある学会ってこんな感じか!という熱気が伝わってきて楽しかった。

僕の研究では、環境微生物のメタゲノム分析を目的にNGSを使うことがメインだけど、この学会は医療も含めた全分野からNGS使いが集まってくるので、全ゲノム解析やトランスクリプトームの最先端でNGSがどんな使われ方をされているのかを知れるのも面白い。

あとは「やっぱ医療の研究って規模も金の使い方半端ないな」という印象。こっちは1ランのシーケンスを回すのにもお金や人手集めに苦心しているのに、平気で数十ランとかの単位で研究やってるもんなぁ。競争が激しくてスピードが必要な研究領域なのは分かるけど、「やっぱりこれからの研究はアイデアじゃなくお金が律速になってくのかな」という思いでちょっと複雑な気持ちになった。

あと印象に残ったのは、最近のシーケンサーのトレンドをおさらいしてくれた講演。実はあまり整理できていなかったところなので、ありがたく聞かせてもらった。

まだ実用化されたばかりで一般的で無いものもあるけれど、現在のシーケンサーのトレンドは大きく以下の4種類になるらしい。

■Hiseq, Miseq系 (illumina社)

基板上に並べたDNAを増幅してコロニーを作ったあと、基盤上の蛍光シーケンス反応を「面」として読み取って、大量のDNAの配列を並列的に決定する。いわゆる「第二世代シーケンサー」で、ここで挙げた4種類の中では一番歴史があって、手法も成熟している。

■Proton Seqencer系 (Life Technologies社)

ポリメラーゼ反応の最中に放出されるプロトンを検出して配列を決定する。蛍光色素を使わなくて済むため低コスト。1塩基置換の検出に強いが、反復配列の決定は苦手。

■Pacbio系 (Pacific Biosciences社)

微小な穴にDNAポリメラーゼを固定しておき、1つの穴の中で1分子のDNAが合成される際の蛍光を読みとって配列を決定する。PCRが不要であり、ポリメラーゼ反応の速度で読めるので早い。20kb程度の長さまで読めて、長い繰り返し配列を読むのは得意。メチル化した塩基もそのまま読むことができる。ただし、正確性が低いため、データの信頼性を高めるのに、同じ領域を重複して読む必要がある。

■Nanopore Sequencer (Oxford Nanopore Technologies)

DNAが微小な穴を通るときに発生する電位を測定して直接配列を決定する。リード長が長いことと、小型化できることが強み。実用化段階に入っていて正確性でもPacbioよりも高い値が出ている。少し前に話題になった、USBスティック型のシーケンサーはこの原理を用いている。

以上、どれが良い/悪いではなく、それぞれの手法の得意/不得意と、コストを考えながら最適の方法を選ぶべし、ということだった。

微生物のメタゲノムでは、しばらくはMiseqが主流なのかなあ。当面は16S・18S rRNAの分析が中心だろうから、2000bpくらいを正確に、大量に読める手法があれば都合がいいのだけれど。欲を言えば、色んな環境から取ったサンプルをタグ配列なしに分けて分析できると、ものすごく便利。まぁ、3年後くらいには実現してそうだけど・・・

 

というわけで、明日からはいよいよ近い分野の研究者の発表もあるので、とても楽しみですごくワクワクする。小学校のときに図書室にあった「科学のアルバム」シリーズを読んで感じていたような好奇心と興奮をそのままに、自分自身が科学の最先端の現場に身を置けるという喜び。こんなワクワクすることはないね。研究楽しいです。