今週はずっと関東出張中。僕は所属としても生態学の研究所にいるし、自分の研究のルーツも一応「生態学」にあると思っているけど、今後は「微生物学」寄りな知識や技術も身につけていきたいと思っていて、今年は情報収集をしに他分野の学会にも参加してみようと思っている。今日からはその第一弾で、東大でやっている「環境バイオテクノロジー学会」に出席。
僕が所属している「微生物生態学会」に比べると、あまり大きな学会ではないし、発表内容も似ているところが多い。けれど、「微生物の利用」という観点では、微生物生態学会以上に産業寄りな感じで、大学だけでなく、国立の研究所や企業の研究者の割合が多いと感じた。異文化ではあるけど、微生物が主役の研究がほとんどなので、発表内容は大体理解できた。今日はまだ1日目だけど、以下のようなタイプの研究がトレンドなのかな、という感想。
・有毒物質や難分解性物質の代謝にかかわる微生物や遺伝子に関する研究
・プラントやリアクターの中で起こっている微生物間の相互作用に関する研究
・シーケンスやバイオインフォに関する技術的研究
個人的には、以下のキーワードがツボだった。
メンブランベシクル
細菌が細胞膜の一部を切り取って作る数百マイクロ以下のサイズの小胞。これを通じて種特異的にAHLなどのシグナル物質のやり取りをしていることが分かってきた。
ANI (Average Nucleotide Identity)
ゲノム全体の類似性を元に細菌を分類する方法。この方法で、16S rRNAが100%相同であっても、異なる生理活性を示す細菌がたくさんいることが明らかになってきた。
あと、やっぱり産総研とか理研とか、国立の研究所は組織だっていて、大きくて分かりやすい研究に取り組んでいるなぁと感じた。大学のほうは、やや重箱の隅感がありつつも、より先端的な研究をしているような感じでこちらも面白かった。明日もいろいろ情報収集してきます。