yokaのblog

湖で微生物の研究してます

就活するか?博士課程に行くか?

「就活するか?博士課程に行くか?」というのは、これからの時期、多くの修士1年の学生が抱える悩みだ。自分自身も、研究者を志して博士課程に行くつもりで修士課程に入学したのだけど、研究者として食っていくことの難しさを冷静に見れば見るほど不安になり…

アルプスの氷河湖もCL500-11だらけ

昨年のヨーロッパ滞在中に行った仕事の一部が論文になった。 一言で言えば、CL500-11系統の細菌がアルプスの氷河湖でも優占することを初めて報告した論文だ。CL500-11に関しては、これまでの自分の研究で、琵琶湖での時空間的な動態を明らかにしてきたほか(…

支笏湖&十和田湖調査

支笏湖と十和田湖の調査に行ってきた。支笏湖は昨年台風で中止になり、今年の当初の計画も地震の影響で中止になり、次は噴火でも起こるのではないかとビクビクしていたけど、天気にも恵まれて無事全サンプルを計画通りに収集して帰ることができた。 まずは新…

陸水学会@岡山

岡山で開催されていた陸水学会に参加していた。今回は課題講演を企画させてもらったのだけど、その狙いとして「同じ湖を別の視点から研究している人の話を聞くチャンスを作りたい」というのがあった。湖は様々な方面から研究されていて、それぞれの分野で技…

ISME17 @ライプチヒ

ライプチヒで行われていたISME17に参加してきた。この学会に参加するのは前回のモントリオール大会に引き続いて2回目。前回は知り合いもあまりいなかったし、海外にも国際学会にも英語でのディスカッションにも慣れていなくて死にそうなくらい疲れたけど、今…

意地の琵琶湖採水

4月につくばに移ってからも定期的に琵琶湖に通って水を採っている。片道5時間以上かかるのでなかなか大変だけど、「自分の足で一次データを集めて研究を差別化すること」の強さと必要性をこれまでも感じてきたから、多少無理してでもやっておきたいと思って…

微生物生態学会@沖縄

沖縄の微生物生態学会に参加していた。台風で日程が1日短くなって、過密スケジュールだったけど、楽しい時間を過ごすことができた。昨年は海外にいたので国内の学会に参加するのは久しぶりだったのだけど、やっぱり学会は楽しい。 一番の感想は「日本語を話…

山頂の景色を信じてただ登っている

同学年の「すごい研究者」がどれくらいすごいのかをネット上で色々と調べていた。僕には会社員をやっていた3年分のロスがあるので、多くの同学年・年下の研究者が僕よりも経験も成果もある。僕はそのことに焦りを感じている。3年間外で働いたからには何か得…

休日が難しい

会社員だった頃は「平日こんなに働いているんだから休日など働いてなるものか!」という気持ちで、土日は躊躇なく趣味や旅行に費やせていたのだけど、研究に戻ってきてからは、不本意な罪悪感があって、思い切って休みを楽しむのが難しくなっている。 自分は…

壁の高さを見誤ってはいけない

今週はほぼ100%の時間を投入してガリガリ論文を書いていたのだけど、月曜日の時点で「水曜までには終わるだろう」と思っていたのが、今(金曜日の夜)になっても終わっていない。論文のストーリーを組み立てたところで出来た気分になっていても、そこから先…

世界とgive & takeするにはまだ早い

最近はデータもやることも無限にあって、中長期的に自分が進むべき方向も見えている状態で、しばらくは迷うことなく仕事ができそうだし、研究成果としても(まだ不確実なことがほとんどだけど)まぁ面白い方向に進んでいるのではないかと思う。 時々「海外に…

あと何本論文が書けるのか

いろんなことに手を出しすぎて手に負えなくなってきている感があると感じる。限界を作るとその限界までしか出来なくなってしまうからできるだけ限界は作りたくないと思っているけど、出来ないことを出来ると思い込んでしまうことには不幸しかない。自分が今…

3年経った

無事学位を取得しました。これで僕は学部・修士・博士と3回京都大学を卒業したことになる。途中で3年間会社員生活を挟んでいるけど、2006年に入学したのはもう12年も前で、本当に長い時間が経ってしまったのだと感じる。学位授与式の最後に「今日は本当にお…

もう一歩踏み込んだ研究をしたい

公聴会を1月に終えてから2ヵ月。しばらく手を付けられていなかった手元のデータの分析に本格的に取り組んでいる。その間にも次々と新しい論文が発表されて状況が変わっていくし、自分のデータからも色々と面白い発見が出てきて、すでに2ヵ月前に公聴会で発表…

「自分が本当に明らかにしたいこと」は何か?

博士論文提出と公聴会を終え、8月の海外渡航以来ずっとバタバタしていたのがようやく一段落。溜まっているデータを論文にする作業にようやく手を付けている。次の論文を出すまでに時間がかかりそうなことは想定済みのことではあったけど、1年近く論文が書け…

Rでのtsv読み込み、pdf書き出し

何度もやっていることなのに久しぶりにやるといつも忘れているので備忘で書いておく。 色々な宗派があるけど、僕はRで論文のFigを作る時、tsv(タブ区切りテキストテーブル)で保存したデータをRで読み込んで図を作って、pdfで保存、イラストレーターで編集す…

池田湖調査

鹿児島県の池田湖に水を採りに来ている。調査日はたまたま寒い日で期待していたような暖かい天候ではなかったけど、この時期でも湖の表層の水温が18℃もあって、水温躍層がまだ25mで、やはり南国の湖なのだなと感じた。 最大水深は233m。もちろん今回も…

帰国しました

2か月半の海外生活から帰ってきた。出発前は「一人で飛び込んで行って、果たして相手をしてもらえるのだろうか」という不安でいっぱいで、「迷惑をかけたり、嫌な目にあったりせずに無事に帰ってこられればそれでいいや」というくらい弱気だったのだけど、終…

チェコ・イタリア滞在

スイス滞在も残り1週間。毎日が新しいことだらけで、本当にあっという間に時間が過ぎるし、色々と経験できている。今回の滞在をサポートしてくれている京大教育研究振興財団には改めて感謝したい。そんなこんなであまりに慌ただしい毎日でだいぶ時間が経って…

SAME15@ザグレブ

ザグレブで開催されていたSymposium on Aquatic Microbial Ecology (SAME)に参加しておりました。 この学会は2年に1回の頻度でヨーロッパで開催されていて、前回のウプサラ大会、それからその2回前の2011年のロストックでの大会に引き続いての参加。この学会…

湖岸の研究所

チューリッヒに到着して1週間。少しずつ慣れてきて、具体的な研究の話も進みはじめた。自分がこれまでやってきた仕事を見せて最先端の研究者達からコメントを貰えることで、自分の研究のレベルを客観的に知ることが出来るし、何よりも鳥肌が立つくらい楽しい…

修行してきます

関西空港におります。 これから11月2日まで、2ヵ月半ほどヨーロッパに滞在予定。早めに海外に滞在して研究する経験を積んでおきたいと2年くらい前から画策していたのだけど、今回有難いことに京都大学教育研究振興財団から渡航費用を支援いただけることにな…

淡水湖の深層に生息する細菌たち

新しい論文が公開されたので紹介。 ざっくりいうと、 淡水湖の深水層がオモロイ細菌の宝庫であることを報告 した論文。 僕は修士時代の研究で、琵琶湖深層に独特の細菌系統「CL500-11」が大量に生息していることを報告した。それ以降、 淡水湖の深層は未知の…

学生最後の1年

今日から新年度、博士課程も残り1年を切った。会社を退職して研究に戻ってきて2年、ここまでは研究の勘を取り戻すことに必死だったけど、だんだんこの生活が当たり前になってきて、良い意味でも、悪い意味でも、緊張がほぐれてきた気がする。 研究に戻って…

2月琵琶湖

今日は琵琶湖調査の日。昨日までの大雪で北湖は沿岸から真っ白。今年は去年よりも雪が多くて寒いように感じる。 全層循環が完了して、表層から深層まで酸素たっぷり、水温は表層から湖底まで7.9℃で均一な状態。透明度は7.9mと高くなっていて、ずっと優占して…

1月琵琶湖 もうすぐ全循環

2017年の琵琶湖初め。先週末から続いていた冬の嵐で延期が続いていたけど、ようやく出ることができた。朝の気温は−3℃。船着場はスケートリンク状態で、ロープが凍った雪に埋まってしまっていた。 比良山も真っ白。12月に雪が少なくて苦戦していたスキー場も…

seqkitを用いたFASTAのフィルタリング・ソート

世の研究者たちはFASTAファイルのハンドリングにはどのようなツールを使っているのだろうか。 長さでソートしたい 特定の文字列を持つものだけ抽出したい 名前だけ抽出したい 名前を置換したい/通しで付け直したい でかすぎるファイルを分割したい ランダム…

琵琶湖納め

今年最後の琵琶湖に行って来ました。今回はとにかく量が必要で、なんと60Lの採水。琵琶湖を60kgも軽くしてしまった。 気温7.7℃、水温11.6℃。透明度は5.5mとまだ低くて、緑藻のブルームが続いている。20µmのプランクトンネットをひくとあっという間に真緑に…

12月びわこ

今日は月例の琵琶湖の日。車も地面も凍り付く朝。比良山も白くなっていた。 表層水温は13.1℃、透明度は5mで緑藻が多い様子。前日の嵐のおかげか、表層から水深40mまで綺麗に水が混ざっている状態だった。全層循環までもう少し。しかし湖上は寒い・・・

RNAmmerのインストール

FASTA形式のDNA配列からrRNA遺伝子を探してくるRNAmmer、元論文は2000回近く引用されていて、広く利用されているソフトだ。少量のシーケンス(1万配列、1000万塩基まで)であれば、ブラウザ上から直接配列を投げてサイト上で解析することもできて便利。RNAmmer…