yokaのblog

湖で微生物の研究してます

研究

陸水学会⇒霧島御池調査

大分で行われた陸水学会に参加後、宮崎の御池を調査してきた。九州の数少ない大水深湖でまだ調査できていなかったので、「大分まで行くならついでに」ということで計画したのだけど、九州の大きさをなめていて、大分から宮崎まで特急で3時間半もかかって全然…

チューリッヒ大 Limnological Station 訪問

エストニアでの学会に引き続いて、チューリッヒ大学の陸水学研究所に2週間ほど滞在してきた。6年前に2カ月半ほど滞在して以来、2回目の訪問になる。チューリッヒ市内から電車で20分ほど出た湖畔にあって、毎朝湖のほとりを歩きながら通勤していた。 前回は調…

香港科技大学でセミナーしてきました

京大から香港科技大学(HKUST)に移られた生態研時代の先輩の潮雅之さんに学内のセミナーでの講演に招待いただき、2泊の香港出張に行ってきた。最初に講演の話を貰ったときは当然オンライン発表だと思っていたので、本当に香港に招待いただけるということを知…

然別湖 結氷期調査

昨夏に調査した然別湖に再び調査に行ってきた。日本でも数少ない、大水深でありながら完全結氷し、逆列成層が見られる湖で、これまで調査してきた多くの湖と異なり、循環期が極めて短く年に2回あるという特徴がある。そのため、他の湖で見られるような、水の…

創発的研究支援事業に採択されました

「湖間比較で拓く高解像度な生態系多様性研究基盤」という研究課題名でJSTの創発的研究支援事業に採択いただいた。長期で思い切った研究をできる環境を頂けることは本当にありがたい。特に今回「湖」という言葉を課題名に入れて採択を頂いた意義は自分にとっ…

琵琶湖・猪苗代湖・中禅寺湖・洞爺湖、国際共同調査

9月20日から10月4日にかけ、チェコ科学アカデミーのMichaela Salcher博士らの研究グループが来日し、琵琶湖・猪苗代湖・中禅寺湖・洞爺湖の共同調査を行った。 Michiのことを最初に知ったのは、10年以上前の学部生の頃だ。当時卒業研究で行っていた、FISH法…

然別湖調査

北海道の然別湖に調査に行ってきた。琵琶湖以外の湖で調査をするのは久しぶりで、今月後半に予定している中禅寺・猪苗代・洞爺湖調査のリハーサル的位置づけの調査でもあった。然別湖は最大水深約98m、標高810mで、自分が研究対象にしている大水深淡水湖(有…

国際微生物生態学会(ISME18)@ローザンヌ

コロナ以降初の海外渡航で、スイス・ローザンヌで行われた国際微生物学会(ISME)に参加してきた。ロシアの戦争のせいで、行きの飛行機は北極回りで15時間もかかった。グリーンランドの氷河や流氷がたくさん見れた。 ISME自体はモントリオール・ライプチヒに…

4年の試行錯誤とこだわりの成果

学振ポスドクとしてやっていたメインの仕事の論文が出版された。つくばから毎月新幹線で琵琶湖に通って、船のトラブルに見舞われながらも、色々な人にサポートしてもらい、なんとか1年通しで調査をやりきった。全サンプルからDNAとRNAを一発でミスなく完璧に…

2021年の感想:大学の先生はとてもすごい

2021年は大学教員として過ごす最初の1年だった。コロナで例年のやり方やイベントが無くなったままなのでまだ仕事の全体像を掴めた感覚が無いのが残念だけど、ようやく自分のペースが作れるようになってきて、自分が教員であることに慣れてきた。教員になるに…

陸水学会2021

2年ぶりに開催された陸水学会(オンライン大会)に参加した。もう一つメインで参加している学会の微生物生態学会では、研究技術の進歩が速いこともあって、先端的な手法や解析に圧倒される発表が多い。一方でこの陸水学会は、そういう派手さはないのだけど、…

AVW10

運営委員を務めていた10th Aquatic Virus Workshop (AVW10) が無事終わった。本当は2018年のAVW9(アメリカ)にも参加したかったのだけど日程の都合で断念していて、当時はまさかその3年後に自分が運営する側になるとは思ってもいなかった。AVW10を宇治でや…

科研費若手落ちた

環境中の未培養の細菌のゲノムが簡単に得られる時代になって、原核生物の多様性や「種」の実態を全ゲノム(=塩基配列で生物を分類するうえで最高解像度の情報)で捉えなおす動きが加速している。その中でも重要な未解決課題の一つが、「種間の明確な境界」…

違和感がないという違和感

京大に着任してから最初の2週間が経った。つくばから京都へ引っ越して中0日で初出勤で、生活も仕事も何もかもが一気に変わって、脳が適応するのに精いっぱいで、夢の中にいるかのようなフワフワした2週間だった。ようやく仕事環境の整備や、家の片付けも一…

申請書書きは嫌いじゃない

科研費シーズンということで来年度の申請書を書いていたのだけど、これまでの申請書類と比較して今回はかなりスムーズに書くことができた。今までは文章を書きながら考えたり文献を探したりということが多かったけど、今回は箇条書き状態でしっかりと煮詰め…

デスクトップPCを導入した

これまで2コア4スレッドCPU、8GB RAMの普通のモバイルPCで全ての作業を完結させていたのだけど、今回新たにデスクトップPCを導入して、解析環境を一新した。 メタゲノム解析をするようになってから、ストレージもCPUもメモリも桁違いに要求されるようになり…

遠くなった琵琶湖

関西に置いてきた培養サンプルが回収できずにずっと研究が止まっていたのだけど、県外への出張が許されるようになったので、4か月半ぶりの出張に行ってきた。行く途中、4か月半行っていない東京がまだ本当にこの世に存在しているのかをこの目で確かめるのが…

ポスドク3年目の論文の書き方

学位を取って2年が経ち、今月からポスドク3年目に突入した。学生時代にとった論文化できていなかったデータのうち、3本目となる最後のネタの原稿をようやく書き上げた。調子に乗って広げ散らかした風呂敷達を畳むのに結局2年もかかってしまった。これからは…

96wellの細菌を1時間半で数えてくれる機械

96wellフォーマットでセルカウントができるフローサイトメーターがやってきた。数年前からずっと欲しいと思っていたのだけど、今回、ラボで導入することが決まり、とてもありがたい。 早速、琵琶湖で採ったサンプルを使ってカウントをやってみた。最初は閾値…

新着論文の集め方・文献管理方法

今月で2010年代が終わる。改めて「2020」という文字を見ると、近未来感があって少しワクワクする。そんな感想も今月限りなのだと思うと寂しい。世界の情報化はますます進んで、「インプットよりもアウトプット、スピードこそが価値」みたいな考えが幅を利か…

コンティグ・ゲノムへのリードマッピング・カバレッジの計算方法

メタゲノムやメタトランスクリプトームの解析をやっていると、コンティグやゲノムのカバレッジを決めたい場面が多々出てくる。アセンブル前のリードを、アセンブルしたコンティグやゲノムにアライメントして、マッピングされた(貼り付いた)リードの量(正…

抽出マラソン完走

昨年から今年にかけ、12カ月×2水深にわたって採集した琵琶湖メタゲノム・メタトランスクリプトームサンプルのDNA/RNA抽出が完了した。限られた量のサンプルからできるだけ多くのDNAとRNAを同時に抽出するべく、8月ごろから時間をかけて慎重に条件検討を進め…

琵琶湖の細菌・ウイルスのゲノムカタログ

先日プレプリントを公開していた論文がEnvironmental Microbiology誌にてPublishされた。 データ量もかけた時間もこれまでの仕事を圧倒しており、今までで一番手がかかった論文だ。最初にこの研究の構想に至ったのがD1だった2015年の秋で、共著者の方々に声…

学会4連続

ドイツでのSAMEに引き続いて、微生物生態学会(甲府)・地球化学会(東京)・陸水学会(金沢)と参加してきた。 微生物生態学会では陸水学会との共催シンポジウムのオーガナイザーを務め、地球化学会は招待講演で分野外の研究者の前で30分も発表の時間をいた…

チェコ・ドイツ出張

2週間弱のヨーロッパ出張から帰ってきた。まずは毎年訪れているチェコ南部のČeské BudějoviceのInstitute of Hydrobiologyを訪問。日本からチェコの直行便はなく、乗り継いでプラハまでたどり着いたとしてもそこから3時間以上の電車旅が待っている。なので今…

登った山からの景色は楽しまなければならない

難産だった琵琶湖の細菌・ウイルスメタゲノム論文をようやく投稿。同時にbioRxivでプレプリントを公開した。 僕は元々顕微鏡仕事から微生物生態学の世界に入ったので、この論文の研究を始めた頃はショットガンメタゲノムの原理もゲノミクスの基礎もほとんど…

駆け出して2年目

明日で博士号を取って今の場所に来てから1年、ポスドク2年目に突入する。この1年何をやっていたか・・・振り返ると、ひたすら学生時代に集めたデータを論文にする毎日だった。昨年の今の時点で、少なくとも論文3本分のデータが手元にあったのだけど、そのう…

医学部はかっこいい

東海大学の医学部で行われた「感染症診断と治療におけるゲノム解析」というシンポジウムに招待いただき、講演してきた。まだ駆け出しの身分にも関わらずそうそうたる先生方と同じ枠で招待してもらっただけで恐れ多いのに、これまでほとんど接点のなかった医…

支笏湖&十和田湖調査

支笏湖と十和田湖の調査に行ってきた。支笏湖は昨年台風で中止になり、今年の当初の計画も地震の影響で中止になり、次は噴火でも起こるのではないかとビクビクしていたけど、天気にも恵まれて無事全サンプルを計画通りに収集して帰ることができた。 まずは新…

陸水学会@岡山

岡山で開催されていた陸水学会に参加していた。今回は課題講演を企画させてもらったのだけど、その狙いとして「同じ湖を別の視点から研究している人の話を聞くチャンスを作りたい」というのがあった。湖は様々な方面から研究されていて、それぞれの分野で技…