yokaのblog

湖で微生物の研究してます

あの人に出会ってなければ自分はどうなっていただろうか

自分が今なぜここにいるのかを振り返ったとき、他人の存在が起点となった出来事が多いことに気づく。自分の人生の可能性は、自身の努力と選択で広げてきたと考えてしまいがちだけど、実は自分自身ができるのは、既に存在している可能性を「伸ばす」ことに過…

頑張ったから不満が見えた1年

「丁寧に考えて動く年にしたい」と掲げた1年が終わった。「人生に慣れて生き方が雑になってきたのではないか」という自覚に対する自分への警鐘だったのだけど、単に歳をとったことによる影響が大きい気がしていたので、正直なところ、結構難しい目標だったか…

攻めきったスペイン出張

The Local Pangenomeというワークショップに参加するため、4泊7日の弾丸でスペインのアリカンテに出張に行ってきた。ヨーロッパでここまで短い出張は初めてで、スペインに行くのも初めてで、いつも以上にトラブルにも見舞われ、覚悟はしていたけどそれ以上に…

陸水学会⇒霧島御池調査

大分で行われた陸水学会に参加後、宮崎の御池を調査してきた。九州の数少ない大水深湖でまだ調査できていなかったので、「大分まで行くならついでに」ということで計画したのだけど、九州の大きさをなめていて、大分から宮崎まで特急で3時間半もかかって全然…

チューリッヒ大 Limnological Station 訪問

エストニアでの学会に引き続いて、チューリッヒ大学の陸水学研究所に2週間ほど滞在してきた。6年前に2カ月半ほど滞在して以来、2回目の訪問になる。チューリッヒ市内から電車で20分ほど出た湖畔にあって、毎朝湖のほとりを歩きながら通勤していた。 前回は調…

Symposium of Aquatic Microbial Ecology (SAME17)@エストニア

恒例の国際会議Symposium of Aquatic Microbial Ecologyに参加してきた。この会議には修士課程の頃から参加していて、ウプサラ、ザグレブ、ポツダムに続いて、コロナで4年空いたけど4回連続の参加になる。名前の通り水圏微生物生態学者だけで集まって、パラ…

プロはかっこいい

NHK Worldの番組Science Viewで自分の研究を30分にわたってとりあげてもらった(1年間はオンデマンド視聴可能です↓) 番組として自分の研究を世界に発信してもらえたことももちろん嬉しかったのだけど、4日間テレビカメラに密着されて、普段見ることのない番組…

香港科技大学でセミナーしてきました

京大から香港科技大学(HKUST)に移られた生態研時代の先輩の潮雅之さんに学内のセミナーでの講演に招待いただき、2泊の香港出張に行ってきた。最初に講演の話を貰ったときは当然オンライン発表だと思っていたので、本当に香港に招待いただけるということを知…

然別湖 結氷期調査

昨夏に調査した然別湖に再び調査に行ってきた。日本でも数少ない、大水深でありながら完全結氷し、逆列成層が見られる湖で、これまで調査してきた多くの湖と異なり、循環期が極めて短く年に2回あるという特徴がある。そのため、他の湖で見られるような、水の…

創発的研究支援事業に採択されました

「湖間比較で拓く高解像度な生態系多様性研究基盤」という研究課題名でJSTの創発的研究支援事業に採択いただいた。長期で思い切った研究をできる環境を頂けることは本当にありがたい。特に今回「湖」という言葉を課題名に入れて採択を頂いた意義は自分にとっ…

丁寧に考えて動く年にしたい

歳を取るにつれて年末年始の年末年始感が無くなっている気がする。今年も忙殺されていてすでに半月経ってしまって今更だけど、1年を振り返ると、昨年の目標として掲げていた「主著論文を2本以上投稿」は何とか達成できた。もう一つの目標の「大学の先生とし…

琵琶湖・猪苗代湖・中禅寺湖・洞爺湖、国際共同調査

9月20日から10月4日にかけ、チェコ科学アカデミーのMichaela Salcher博士らの研究グループが来日し、琵琶湖・猪苗代湖・中禅寺湖・洞爺湖の共同調査を行った。 Michiのことを最初に知ったのは、10年以上前の学部生の頃だ。当時卒業研究で行っていた、FISH法…

然別湖調査

北海道の然別湖に調査に行ってきた。琵琶湖以外の湖で調査をするのは久しぶりで、今月後半に予定している中禅寺・猪苗代・洞爺湖調査のリハーサル的位置づけの調査でもあった。然別湖は最大水深約98m、標高810mで、自分が研究対象にしている大水深淡水湖(有…

国際微生物生態学会(ISME18)@ローザンヌ

コロナ以降初の海外渡航で、スイス・ローザンヌで行われた国際微生物学会(ISME)に参加してきた。ロシアの戦争のせいで、行きの飛行機は北極回りで15時間もかかった。グリーンランドの氷河や流氷がたくさん見れた。 ISME自体はモントリオール・ライプチヒに…

4年の試行錯誤とこだわりの成果

学振ポスドクとしてやっていたメインの仕事の論文が出版された。つくばから毎月新幹線で琵琶湖に通って、船のトラブルに見舞われながらも、色々な人にサポートしてもらい、なんとか1年通しで調査をやりきった。全サンプルからDNAとRNAを一発でミスなく完璧に…

話をしないと現実は見えない

コロナで失われていた、対面でダラダラおしゃべりできる時間が戻ってきつつある。仕事のオンライン化で移動や会議が短くなったのは良いことだけど、その裏で失われたものも実は結構あって、それが何なのか、これから元の生活に戻っていく中で、徐々に実感す…

博士課程は最低年収よりも最高年収を上げるべき

日本で博士課程に進学する人がどんどん減っていてマズいということで、博士課程学生の生活を金銭的にサポートする制度が増えてきて、良いことだと思う。自分が学生の頃は、博士課程で給料をもらおうと思ったら学振特別研究員ほぼ一択だった。それも採択率20…

申請書に壮大なストーリーは要らない

科研費若手に内定をいただいた。今年の申請書は、落ちてしまった昨年の申請書と比べると、3割くらいの時間で書いた、ある意味手抜きの申請書だ。 手抜きをしたのは、単にポスドク時代よりも忙しくなって申請書に割ける時間が無くなったこともあるけど、それ…

休日にやりたすぎる仕事も問題である

「休日にもやりたいと思えるくらい好きなことを仕事にしたい」というのが、自分が会社員を辞めた大きな理由の一つだった。研究者になって、今は正真正銘、休日にもやりたいと思える楽しい仕事をしている。毎日が休日といっても良いくらい、本当にやりたい事…

大学の先生の本分は研究ではなく教育である

何を当たり前のことを言っているんだという話だけど、「大学の先生は研究者ではなくて先生なのだ」ということを改めて感じている。ある程度は想像していたけれど、当初の想像をはるかに超えて、学生を教える仕事は重要だし大変だし、本気で取り組むべきもの…

2021年の感想:大学の先生はとてもすごい

2021年は大学教員として過ごす最初の1年だった。コロナで例年のやり方やイベントが無くなったままなのでまだ仕事の全体像を掴めた感覚が無いのが残念だけど、ようやく自分のペースが作れるようになってきて、自分が教員であることに慣れてきた。教員になるに…

微生物生態学会2021

オンラインで2年ぶりに開催された微生物生態学会に参加した。前のポスドク先も今の就職先も、この学会での出会いがきっかけになっていて、大変お世話になっている学会だ。学生やポスドク時代はとにかく色んな人の話を聞いて視野を広げて、色んな人と話して…

陸水学会2021

2年ぶりに開催された陸水学会(オンライン大会)に参加した。もう一つメインで参加している学会の微生物生態学会では、研究技術の進歩が速いこともあって、先端的な手法や解析に圧倒される発表が多い。一方でこの陸水学会は、そういう派手さはないのだけど、…

「やらない」の先にあるものは何だろうか

昔から「やること」よりも「やらないこと」を決めるのが苦手だった。性格的に、寄り道だと分かっていても、気になってしまうと一通り納得いくまで進んでみないとどうしても気持ちが収まらない。なのでビシバシと「やらない」選択を決めて効率よくゴールに向…

対面で会うことの価値が上がった

京都化学者クラブに招待をいただいて講演をしてきたのだけど、オンラインではなく対面での発表だった。会場は京大にある楽友会館という素敵な建物で、存在は知っていたけど中に入ったのは初めて。 公式に対面で発表をするのは2020年2月以来、なんと1年半ぶり…

AVW10

運営委員を務めていた10th Aquatic Virus Workshop (AVW10) が無事終わった。本当は2018年のAVW9(アメリカ)にも参加したかったのだけど日程の都合で断念していて、当時はまさかその3年後に自分が運営する側になるとは思ってもいなかった。AVW10を宇治でや…

水素吸蔵合金

中学生の頃の話。社会の授業で、近所の自動車メーカーの社員がやってきて、自動車の開発や製造について紹介してくれる機会があった。その話の内容は今はもう覚えていない。だけど、よく覚えているのが授業後の感想のアンケートで「水素吸蔵合金が面白いと思…

人を相手にするかモノを相手にするか

人を相手にする仕事と、モノを相手にする仕事がある。人を相手にする仕事が気にするのは「伝わり方」であり、目指す成果は「納得感」だ。モノを相手にする仕事が気にするのは「事実」であり目指す成果は「確かさ」だ。どちらも「結果」を出しているのだけど…

科研費若手落ちた

環境中の未培養の細菌のゲノムが簡単に得られる時代になって、原核生物の多様性や「種」の実態を全ゲノム(=塩基配列で生物を分類するうえで最高解像度の情報)で捉えなおす動きが加速している。その中でも重要な未解決課題の一つが、「種間の明確な境界」…

学問はもっと気軽に志せるものであってよい

自分の人生は3年区切りだ。中学生・高校生を3年ずつやったあと、学部3回生まで京都で過ごし、4回生・修士2年の計3年は滋賀の生態研で研究して、その後東京で3年間会社員をやって、再び滋賀の生態研に戻って3年かけて学位をとって、3年任期のポスドクとしてつ…